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2018年(平成30年) 9月18日(火)付紙面より

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鶴岡市あつみ温泉街「かじか通り」 整備から10年、にぎわい創出へ

 鶴岡市のあつみ温泉街で2008年までに整備された「かじか通り」について、温海温泉旅館組合の青年部を中心とした地元住民が主体となり、利活用を見直す動きがある。整備から10年が経過し、ベンチといった休憩場所や、歩行者を優先した散策路などを温泉街の魅力づくりに生かし切れない現状の改善策を探っている。

 「来客をもてなそうという本来の目的は失われ、整備した椅子は置かれただけになっている。演出がない」「花のプランター設置も守ってはいるが、この質ではかえってマイナスの印象を与えかねない」。当時、アドバイザーとしてかじか通りの整備に関わった景観工学の第一人者、堀繁東京大名誉教授(65)は12日、同青年部らの企画した勉強会で温泉街を訪れ、整備後の維持の形骸化に陥っていると指摘した。
 あつみ温泉ではこれまで、1990年以降の観光客数の減少を背景とした当時の旧温海町の事業などで、99年の共同浴場や朝市広場の整備をはじめ、2002年から05年にかけては足湯や、植栽、散策道の整備などが行われてきた。

 このうちかじか通りは、03年に国土交通省の「くらしのみちゾーン」に登録されたことを受け、地元自治会を主体に組織した魅力づくり推進委員会(代表・齋藤徹自治会長)と行政が連携しながら景観に配慮した道路改良整備計画に基づき整備が行われた。05年からの4年間で総事業費約1億9370万円を投じ、温海川右岸沿い市道計610メートルの散策路を整備。従来の2車線道路から一方通行化し、テラスタイプなどのベンチを点在させて休憩場所を確保した。

 足湯やかじか通りの整備後の10年、店舗、宿泊客を対象として市が実施したアンケートでは、「若年層の客が増加」とのまとめもあり、にぎわいづくりに一定の効果も生まれた。

 ボランティアや住民によって足湯などの掃除はこれまで定期的に継続してきたが、齋藤会長は「作ってそのままになっていた現状はあった。せせらぎの能などのイベント開催に力を注いでいたこともあり、せっかく作った設備の維持に取り組む主体や体制が不明確になっていたことも要因」と振り返る。

 「宝の持ち腐れ」(齋藤会長)の現状に、3年ほど前から地元では利活用の再検討を求める声が上がるようになり、温海温泉旅館組合青年部を中心に取り組みが始まった。

 12日の勉強会で堀教授は「歓迎の意思を伝える配置を。お金をかけずにすぐに取り組める」と、ベンチの配置方法を指導。「座ったときの足が他の通行の邪魔になるのは駄目」「歩く人と休む人の境界を明確に」「L字の並べ方でも自己領域を形成可能」などと並べ方一つで改善されるポイントを紹介。

 また、「客数は店の前を通る人の数に直結している。まちの魅力は店の売り上げに直結していることを住民全員が認識して取り組む必要がある。公共整備だけでは不足でその後の地域の人のフォローが必要。逆転本塁打を狙わず、バントを積み重ねるつもりで改善していくしかない」と大勢の住民の関わりと、地道な活動の重要性を強調する。

 同青年部メンバーでたちばなや専務取締役の佐藤鉄平さん(38)は「住んでいる人全員の課題として取り組んでいきたい」と話した。

堀教授からベンチの配置などでアドバイスを受ける同推進委員会や旅館関係者。来訪者に歓迎の意思を訴える演出を試行錯誤している=12日
堀教授からベンチの配置などでアドバイスを受ける同推進委員会や旅館関係者。来訪者に歓迎の意思を訴える演出を試行錯誤している=12日



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