2017年(平成29年) 7月26日(水)付紙面より
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飽海地区高等学校図書委員研修会が24日、酒田市の酒田光陵高図書館で開かれ、地区内6校の図書委員たちが、同市出身の詩人・吉野弘さん(1926―2014年)の詩の朗読を通じ、郷土が生んだ芸術家の心に触れるとともに、表現する楽しさを体験した。
県高等学校教育研究会図書館部会飽海支部(支部長・鈴木和仁酒田光陵高校長)が年2回ほど開いている研修会。通常は外部講師による講演が多いが、今回は当番校の酒田光陵高(旧酒田商業高)が吉野さんの母校でもあることから、吉野作品の朗読に取り組んだ。6校の図書委員17人が参加した。
生徒たちは「酒田詩の朗読会」代表の阿蘇孝子さんのアドバイスを受けながら、2、3人ずつの6グループに分かれ、「生命は」「夕焼け」「虹の足」など吉野さんの6作品のうちから2作品ずつ朗読。グループ内で各自がその詩を読んで感じたことや、聞く人に何を伝えたいかなどを話し合った後、グループごとに朗読を発表した。同じ詩でも「幻想的な雰囲気を強調したい」「吉野さんの力強い主張を際立たせたい」など解釈が違ったり、1連ごとに交代したり、3人で声をそろえたりと表現もさまざまだった。
阿蘇さんは講評で「吉野さんの詩には、命へのいとおしさがあふれている。それは、13歳の時に母親を亡くし、戦争で同級生が死に、24歳で結核になったりと、間近に死を見てきて、今、命あることを伝え、共有したかったからだと思う。言葉を大切にしてほしい」と呼び掛けた。
遊佐高3年の高橋まみさん(17)は「とても楽しかった。吉野さんのことは今回初めて知った。詩がこんなに深く、たくさんのものが詰まっているとは知らなかった」と話した。
6校の図書委員は今後、各校で生徒から詩を募集してコンクールを行う予定。