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2017年(平成29年) 9月28日(木)付紙面より

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サクラマス 陸上養殖の実証設備完成

 県が水産加工大手「マルハニチロ」(本社・東京都)などと連携し、「県の魚サクラマス」を陸上で養殖するための実証設備が遊佐町吹浦の町漁村センター敷地内に完成し26日、現地で竣工(しゅんこう)式が行われた。産学官の6機関が2020年度まで、飼育に適した条件の探索や情報通信技術を活用した効率的な管理方法などを共同で試験研究し、国際競争力を持つ新たな国産ブランド魚の開発を目指す。

 試験研究に取り組むのはマルハニチロと県農林水産部、国立研究開発法人水産研究・教育機構(本部・神奈川県横浜市)、香川高等専門学校(香川県高松市)、JXTGエネルギー(本社・東京都)、バルブ製品のキッツ(同・千葉市)の6機関。今年2月にコンソーシアム(共同事業体)を立ち上げ、国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構(茨城県つくば市)の委託を受けて16―20年度の5カ年、研究開発のモデル事業として実施する。

 計画では、県水産振興協会が育てたサクラマスの幼魚を仕入れ、自動で水質管理するキッツの養殖システムで飼育する。JXTGエネルギーは、まだ確立されていない陸上養殖用の配合飼料の開発、香川高専は微生物を使った水質浄化、県や水産研究・教育機構は最適な飼育条件(水温やpH、光など)などをそれぞれ研究する。陸上養殖の技術は未確立だが、海面に比べ環境が安定し、病気も付きにくく、人件費も安く済むなど大きな可能性を秘めているという。

 実証設備はコンソーシアムが遊佐町から漁村センターの敷地1200平方メートルを借り、6月から整備していた。テントハウス(広さ約450平方メートル)を建て、内部にキッツの養殖システム用の大型水槽(容量各5トン)2基、水質浄化設備などを設置した。今後、最適の飼育条件を探るための小型水槽(同1トン)10基も設置する。初期投資は約3億円。研究員2人が常駐する。

 大型の水槽には、県古寺サクラマスふ化場(大江町)で約1年半前にふ化し、降海の準備が整ってスモルト化(銀毛)した幼魚(体長約25センチ、重さ約350グラム)を1基につき約50匹放した。来春まで出荷サイズ(体長50センチ前後、重さ1・2―1・5キロ)に育てる。当初は淡水だが、試験の本格化に伴い海水に変える。

 この日の竣工式では、関係者約40人が神事で順調な稼働を願った。その後に記者会見したマルハニチロ中央研究所の椎名康彦副部長は「サクラマスは日本固有種でとてもおいしいが、国内のサーモン市場はニジマスや輸入物のアトランティックサーモンが主流。日本人はサケを生で食べる習慣がなかったが、1990年代から輸入増の普及で定着した。サクラマスを、本来の日本のおいしいサーモンとして認知度を高め、海外にも出していきたい」と説明。県の担当者は「かつて酒田港内でサクラマスの養殖を試みたことがあったが、冬季の波浪に耐えられなかった。陸上養殖試験への期待は大きい」と述べた。

遊佐町漁村センター敷地内に完成したサクラマス陸上養殖実証用設備の水槽=27日の竣工式後の内覧会
遊佐町漁村センター敷地内に完成したサクラマス陸上養殖実証用設備の水槽=27日の竣工式後の内覧会

水槽を泳ぐサクラマスの幼魚。横の窓から観察できる
水槽を泳ぐサクラマスの幼魚。横の窓から観察できる



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