2019年(令和1年) 12月13日(金)付紙面より
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鶴岡市を中心に地域で特色ある食料自給圏の形成を目指す「庄内スマート・テロワール(庄内自給圏)」事業で生産されたジャガイモを使った学校給食が今月の限定日、同市内の小中学校37校で実施される。10日は11校で行われ、広瀬小学校(成澤和則校長、児童183人)では5年生26人と地元生産者らが一緒に給食を食べ、交流した。
今年6月に設立した庄内スマート・テロワール推進協議会(会長・林田光祐山形大農学部長)が同事業をPRするとともに、子どもたちに地元の農業に理解を深めてもらおうと初めて実施。18日までの4日間に、同市内の給食センターごとに1日ずつ提供される。
広瀬小には、同事業の協力農家で月山高原エリアで野菜類を栽培している叶野幸喜さん(39)=鶴岡市東堀越、高田庄平さん(36)=同市羽黒町手向=の2人と、山大農学部食料生命環境学科の中坪あゆみ助教らが同校を訪れた。
庄内スマート・テロワールは、コメ消費が減少している中、休耕田などを活用し、庄内地域で自給できていないジャガイモ、小麦、大豆、飼料用トウモロコシの転作による食料生産や耕畜連携、地産地消などによる食料自給圏を目指している。そうした事業について中坪助教が紹介。庄内には休耕田や耕作放棄地が東京ドーム約300個分あることや、規格外の野菜も無駄なく加工品や畜産飼料に活用し、肥料は畑にと、地域循環型の取り組みを分かりやすく説明した。叶野さんは「ジャガイモは日本には300種、私は6種ほど作っている」と話し、自身のジャガイモ畑の様子を動画で紹介した。
給食のメーンメニューは叶野さんが栽培したジャガイモ「さやか」と鶴岡産豚肉を使った肉じゃが。佐藤一矢君(11)は「大きな機械を使ってジャガイモが収穫されていることを知った。作っている人と一緒に食べることができてうれしい」と、おいしそうに肉じゃがを食べていた。月山高原エリアで農業体験イベントも行っている高田さんは「地産地消を進めるには学校給食が一番。子どもや親世代に地元の農業へ興味を持ってもらえるような活動を継続していきたい」と話した。
同協議会によると、鶴岡市内の学校給食で使われる地元産ジャガイモは全体の4分の1ほどという。
2019年(令和1年) 12月13日(金)付紙面より
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鶴岡・庄内を知る講座の第1回「鶴ケ岡城の歴史と面影」が11日、鶴岡市の荘内神社参集殿で行われた。鶴岡商工会議所創立90周年記念事業として5回行われる講座の初回。城跡に建てられた同神社の石原純一宮司(62)が城の由来を説明した。「なぜ“荘内”と“庄内”の2つがあるのか?」という疑問から石原宮司は語り始めた。その昔、武藤家がこの地を支配していた当時は一帯を大泉荘(おおいずみのしょう)と言い、その荘園内に町があったことで「荘内」と名付けられ、長らく使われたことを説明。「昔からの組織、荘内銀行・荘内日報などは荘の字を使うことが多いんです」とし「庄内」は新しい表現であることを説き、120人満杯の聴講者を引き付けた。
酒井家が信州から来て、2022年に入部400年を迎えるが、入部直前、最上家が庄内を支配していたころ、酒田の城が亀ケ崎城と改名され、「鶴亀」の対として、大宝寺城と言われたものが鶴ケ岡城に変わったという。
紙漉(かみすき)町、鷹匠町、新屋敷町、八坂町、最上町など城下町由来の古い町名があったのに、今は「本町」など新しい名前になり、風情がなくなってしまったことなど、町の今昔の変化を語ることで、約1時間の講話を飽きさせなかった。終了後は3班に分かれ、鶴岡公園内の城跡を歩いた。本丸御隅櫓(おすみやぐら)を復興させるアイデアがあったが賛否両論の末、11年3月11日、東日本大震災が起こり、集まった寄付は被災地支援に回ったことなども説明された。酒井家入部400年ではもう一度、鶴ケ岡城再発見的な行事、ムーブメントを起こしたい考えも明らかにした。
第2回は18日、「酒井家の歴史と治世」と題して酒井家18代当主の酒井忠久さんが講演する。問い合わせは鶴岡商工会議所=電0235(24)7711=へ。