2019年(令和1年) 5月19日(日)付紙面より
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酒田市の水害タイムライン策定に向けた初会合が17日、市健康センターで開かれた。昨年8月に最上川などの水位上昇で避難勧告を発令した教訓を踏まえ、水害発生時に市としてどのような行動を取るべきかを、時間経過に従って細部まで整理しておくもの。国土交通省や消防、警察など関係機関と共に8月まで計4回の会議を開いて策定し、10月の市総合防災訓練ではこのタイムラインに基づいた訓練に取り組む予定。
タイムラインは、災害発生を想定し、誰がいつ、どのような行動を取るべきかを、時間経過に従って整理しておく防災計画。同市では既に各河川の水位観測所の水位などに基づき、山形地方気象台や県、酒田市、住民などの機関別に、「避難準備情報発令」「避難勧告発令」など取るべき大まかな行動をまとめたタイムラインがある。
しかし、昨年8月5、6日と同31日に荒瀬川、最上川が水位上昇し、相次いで避難勧告を発令した際、市危機管理課では「『避難の手段は?』『保育園は休園すべきか?』など、より具体的な対応を細部まで詰めておく必要性を痛感した」(前田茂男課長)という。
今回はその教訓を踏まえ、市に特化したタイムラインを策定するもの。この日の初会合には、市の各部署をはじめ、国土交通省酒田河川国道事務所、県庄内総合支庁、酒田警察署、酒田地区広域行政組合消防本部の関係者、合わせて約30人が参加した。
初めに国交省酒田河川国道事務所調査第一課の田中大輔水防企画係長が講話し、タイムラインを策定する意義については「やるべきことは決まっているが、パニックにならず、先を見越した対応を先手先手でできる。関係機関が顔の見える関係を構築できる」など述べた。
引き続き参加者は高屋、遊摺部、両羽橋、下瀬、臼ケ沢の水位観測所別の5グループに分かれ、ワークショップ。各自が水害時のリスクを付箋に書いて地図に貼りながら説明し、対策を話し合った。リスクについては「住宅の浸水」「道路の冠水」「逃げ遅れ」などの一般的なもののほか、昨夏の体験を踏まえ「集落が孤立化する」「避難所に人が集中する」「潮位で水位が上がる」など、深刻さを真剣な表情で訴える人もいた。
次回は山形地方気象台の関係者を招き、気象変化とその対応について考える。