2005年(平成17年) 6月21日(火)付紙面より
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ゴルフ用品製造・販売の本間ゴルフ(本社・東京都世田谷区、本間秀一社長)は20日、東京地裁に民事再生法の適用を申請し、受理された。事業拡大が裏目に出て資金繰りが行き詰まり、自主再建を断念した。負債総額は305億7200万円。420人余りが勤務している酒田工場の操業と雇用の継続について同社では明らかにしていない。地元自治体では情報収集を進めている。
本間ゴルフは柿の木を素材にしたパーシモンウッドなど高級ゴルフクラブで知られる老舗メーカー。1958年に横浜市鶴見区でゴルフ練習場を開業。翌59年に鶴見ゴルフセンターを設立し、会社組織に移行し、63年に本間ゴルフクラブ製作所を設立、ゴルフクラブ事業に着手した。81年には酒田工場が完成した。直営店の全国展開、酒田工場の増設、ゴルフ場建設などの積極的な事業投資による借入金が経営を圧迫したとみられる。資本金は約30億円、従業員785人。
民間信用調査機関の東京商工リサーチによると、HONMAブランドのハンドメイドのゴルフクラブが高級志向のゴルファーに浸透し、全国主要都市に約70の直営店を展開、ゴルフ場「本間パブリック和歌山コース」も経営してきた。しかし、近年はゴルフ市場の停滞や海外ブランド進出の影響を受け、97年3月期に341億4600万円あった売上が2004年3月期は163億2400万円と半減。直営店の展開やゴルフ場建設等への設備投資から借入金が膨らみ、04年9月末現在で借入金は259億円に達した。不採算店の閉鎖、従業員の削減などのリストラを進めてきたが、保有不動産に対する固定資産の減損会計を迫られ、債務超過が確実視されていた。
今年3月期決算については、48億円の最終赤字を計上。監査法人が「経営計画が未確定であり意見を表明しない」との監査報告書が出された。ジャスダック証券取引所は5月26
日、上場廃止基準に触れる可能性があるとして同社を監理ポストに移した。
本間ゴルフは20日朝、臨時取締役会を開き、自主再建を断念した。同社広報は「東京地裁に民事再生手続きを申し立て受理されたのは事実だが、まだ監督命令を受けていない。雇用については開示されていないので明らかにできない」としている。
本間ゴルフは98年、売上不振などを理由に酒田工場のパート従業員288人の雇用を打ち切る人員整理を実施している。
本間ゴルフの民事再生手続き申請を受け、酒田工場に勤務する従業員を多く抱える酒田市と遊佐町は「情報収集に努めていきたい」と話している。
民事再生法を申請した本間ゴルフの酒田工場