2006年(平成18年) 11月18日(土)付紙面より
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宮城県石巻市と酒田市を結ぶ「みちのくウエストライン」の地域連携と道路網整備を図る「石巻・酒田間地域連携サミット」が16日、ホテル・リッチ&ガーデン酒田で開かれた。沿線市町村の首長や経済団体トップが地域高規格道路新庄酒田道路など沿線道路の早期整備の必要性を確認するとともに、道路特定財源の全額道路整備への充当などを盛り込んだ決議を採択、陳情活動を強化していくことを申し合わせた。
石巻・酒田間は、東北地方の太平洋側と日本海側を最短距離で結ぶウエスト(腰)に当たり、環太平洋経済圏、環日本海経済圏を結ぶ国際物流の結節点などとして重要視されている。
サミットは沿線市町村による新庄酒田地域高規格道路建設促進期成同盟会(会長・高橋榮一郎新庄市長)、石巻新庄地域高規格道路建設促進期成同盟会(会長・土井喜美夫石巻市長)、沿線経済団体による石巻・酒田間地域連携軸強化促進協議会(会長・浅野亨石巻商工会議所会頭)の3団体が2000年度から毎年、各地の持ち回りで開いている。今回は国土交通省や両県、沿線の市町村、商工会議所、商工会の関係者ら合わせて約40人が参加した。
はじめに、国土交通省東北地方整備局の寺本邦一道路部長が講話。地域内の港湾でコンテナ貨物を扱う割合の全国平均が85%なのに対し、東北地方は港湾と自動車専用道路のアクセスが悪いために36%と低く、グローバル化への対応が遅れているなど、道路網整備が経済、救急、災害、観光に与える影響などについてデータを挙げて解説した。
続く意見交換では、「病院の移転時に高速道路とのアクセスをよくしたことで救急患者の生存率が高まり、周辺市町で計画していた病院建設が必要なくなった」(土井石巻市長)、「病院の統廃合は道路整備とともに議論しないと、地域住民の命を守れない」(阿部寿一酒田市長)、「道州制を視野に入れたとき、ウエストラインの果たす役割は大きく、特に今の県境の道路整備が重要」(高橋重美最上町長)など道路網整備の効果や必要性を訴える声が相次いだ。
また、道路特定財源の一般財源化の論議が進む中、「財務省の官僚に直接、陳情すべきでは」(土井石巻市長)、「市町村の福祉の責任が拡大されたが財源が伴わないため、福祉予算と道路予算の取り合いが起きている」(阿部酒田市長)と地方の市町村が苦汁の選択を迫られている現状を挙げ一般財源化反対を訴える声も上がった。
最後は、▽道路特定財源の全額道路整備への充当▽地域高規格道路石巻新庄道路、同新庄酒田道路の整備促進―など5項目を盛り込んだ決議文を満場の拍手で採択した。
「地方ではまだまだ道路整備が必要」など沿線首長らが意見を交わしたサミット