2007年(平成19年) 5月25日(金)付紙面より
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酒田市は23日、JR酒田駅前の旧ジャスコ酒田駅前店跡地(幸町一丁目)の土地約6000平方メートルについて、地裁酒田支部が市への売却許可を決定したと発表した。駅前の再開発事業を進めていた民間企業の破産に伴い、市が破産管財人に買い取りを申し出ていた。今後、市土地開発公社(理事長・中村護副市長)が購入した後、市が買い戻して取得し、当面は広場として活用していく方針。ジャスコ閉店から約10年間にわたり放置されてきた「酒田の玄関口」は、ようやく市の主導で活用が図られる見通しとなった。
市によると、売却許可が決定されたのは、いずれも地元資本の「酒田駅前ビル」「ベルコーポレーション」「パークコーポレーション」の3社が所有している土地5筆、合わせて6032・64平方メートル。売却価格は3億8608万8960円。
うち約半分の土地を所有している酒田駅前ビルは昨年3月に自己破産。同社の大口債権者の酒田信用金庫が債権処理の一環で、跡地を一括して市に売却しようと、残りの土地を所有しているベルコーポレーション、パークコーポレーションの2社に土地の売却を要請。しかし、価格面で折り合わず暗礁に乗り上げたため、同金庫は昨年秋にこの2社の破産を地裁酒田支部に申し立てた。今年3月に同支部はこの申し立てを認め、2社の破産が決定した。
それを受けて市では先月12日付で、破産した3社の破産管財人に対し、土地の買取希望書を提出していた。同様の土地買取希望書はほかに3法人から出ていたという。
今回の土地のほか、旧ジャスコ跡地にはまだ約480平方メートルの土地が残っており、市では所有する3個人・法人に売却を打診、いずれも前向きな回答を得ているという。全体を取得すれば、総面積は6516・34平方メートルとなる。
市では「酒田の玄関口」としての景観に配慮し、年度内にも土地を囲っているフェンスを撤去する。 阿蘇弘夫建設部長は活用について、「庁内で検討しているほか、市民要望を踏まえ、議会などともよく相談して詰めていく。当面は広場として活用したい」としている。
ジャスコ跡地は、1997年8月にジャスコが閉店して以来、しばらく旧店舗ごと放置されていた。2002年から酒田駅前ビルが、国土交通省の補助で複合ビルを建設する再開発事業に着手。04年春までに旧店舗と駐車場ビルを解体したが、資金繰りやテナント探しで難航し、同社は昨年3月に自己破産した。その後、酒田信用金庫が市に跡地の取得を働きかけ、市でも「公共性が高く、酒田のイメージを左右する。権利関係が整理されたら取得したい」(昨年6月定例市議会で阿部寿一市長)など応じる意向を示し、権利関係の整理を待っていた。
酒田市への売却許可が決定された旧ジャスコ酒田駅前店跡地