2007年(平成19年) 10月18日(木)付紙面より
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岩手県奥州市でこのほど小倉百人一首かるたの全国大会が開かれ、酒田三中3年生の菅原啓介君(15)が、二、三段者を対象にしたB級で優勝、中学生として現時点では全国で3人目のA級入りを果たした。また、この優勝で四段に昇り、名人戦予選や全日本選手権など「日本一」を狙える大会の出場資格を得た。
菅原君は、松原小3年のときに入門用百人一首の五色百人一首と出合った。頭を使う一方、反射神経を要求されるなどスポーツ的なところもある競技かるたに興味を持ち、酒田かるた会(菅啓彦会長)に入会した。
「素直な性格で、アドバイスを受けるとすぐに修正できる」(菅会長)ことから順調に上達。家ではほぼ毎日、母親の美雪さんに読手(どくしゅ)を務めてもらいながら練習を重ね、毎年3月に滋賀県大津市で開かれる全国小・中学校かるた選手権で小学4年、同5年、中学1年の部でそれぞれ優勝するまでになった。
競技かるたでB級からA級に上がるには、年30回ほどある全国大会で優勝するか準優勝を2回することが必要。A級を目指す菅原君は、先月30日に奥州市総合福祉センターで開かれた第18回全国かるた水沢大会に出場した。同大会には全国から163人が参加。AからEまでの各クラスに分かれ、トーナメント方式で熱戦を繰り広げた。
2回戦から登場した菅原君は、少し苦戦した4回戦を除き、大学生や社会人を相手にワンサイドで勝ち上がり、決勝で近夏未さん(早稲田大学かるた会)と対戦。ここでも圧勝した。午前10時すぎに始まった大会は午後8時に終了。その間、食事もとらずに戦い続けた疲れもあってか「優勝の瞬間は実感がなかった」という。
指導に当たっている菅会長(36)が「(札を取る)払いのキレ、試合での集中力が抜群で、本番に強いタイプ。練習も一番した。その意味で今回の優勝は非常に価値がある」と評価する菅原君は、12月に仙台市で開かれる全国大会でA級デビューする。「勝ちたいという気持ちだけは誰にも負けないように臨む」と、力強く抱負を話した。
目にも留まらないような速さで相手側の札を取る菅原啓介君(右)=練習会場の酒田市総合文化センター
2007年(平成19年) 10月18日(木)付紙面より
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「ハタハタの増殖」に焦点を当てた「■鰰(はたはた)シンポジウム」が20日、酒田市の東北公益文科大学公益ホールで開かれる。ハタハタの禁漁措置で増殖の実績を挙げた秋田県水産振興センターの杉山秀樹管理室長らを講師に迎え、講演とパネルディスカッションを繰り広げる。また、ハタハタ増殖への思いを込めて地元のNPOの関係者らがつくった曲「はたはた」が発表される。
このシンポジウムは、2005年度からハタハタ増殖のための試験研究や海洋教育の支援を行っているNPO法人「みなと研究会」=守屋元志代表(60)=が初めて企画した。これまで酒田北港で、松原小児童や東北公益文科大学生らの協力で産卵床を設置、増殖方法を研究する中で、放っておけば減っていくハタハタについて、より多くの人に関心をもってもらう狙い。
基調講演を行う杉山室長は、「秋田県の魚」であるハタハタの漁獲量が激減したことから、1992年から3年間、同県沿岸でのハタハタの漁獲を全面的に禁止する措置の陣頭指揮を取った。措置後、漁獲量は増え、効果が確認されている。
講演後は、みなと研究会が取り組んできた増殖の試験研究の活動報告に続き、「はたはたの保全と地域社会」をテーマに、杉山室長や県漁協の関係者らがパネルディスカッションを繰り広げる。
新曲「はたはた」は、みなと研究会の守屋代表が作詞、酒田市在住の演歌歌手、しば史朗さんが作曲したもの。冬の荒天時、雷鳴を合図に岸辺に押し寄せるという伝承を踏まえ、ハタハタが秋田や庄内の浜を目指してやってくる様子を歌にした。
CDを1枚1000円程度で販売し、売り上げの一部はハタハタの産卵床設置など、増殖と試験研究に活用していく計画。シンポジウムでは、しばさんが披露する。
守屋代表はシンポジウムについて、「水産資源という側面のほか、大黒様のお歳夜に幸福を願って食べてきた地元の食文化、環境など、いろんな角度からハタハタについて考えたい」、新曲については「律儀に岸辺に帰ってきて、われわれの食卓を豊かにしてくれるハタハタへの感謝の思いを込めた」と話している。
シンポジウムは20日午後2時から。参加無料。問い合わせは守屋代表=電080(6018)2820=へ。
※■は魚偏に雷
シンポで披露される新曲「はたはた」のCD