2007年(平成19年) 10月24日(水)付け紙面より
庄内地方で春から初夏の山菜として親しまれている赤ミズが秋になると付ける赤い実が新しい食材として注目を集めている。これまで「知る人ぞ知る」的な食べ物だったが、産直施設に登場したことで一般にも浸透しつつある。茎の部分とはひと味違った味わいが人気の秘密と言えそうだ。
赤ミズは春の山菜と思われがちだが、収穫期間は秋までと長い。秋に枝の葉の根元に4、5個の赤い色の実を付ける。これが地面に落ちて翌年に芽を出す。旧八幡町や平田町の山間地では茎だけでなく、実の方も漬物やあえ物などにして食べていたという。
一般的な山菜料理ではなかった赤ミズの実が産直施設にお目見えしたことで一部消費者に認知されてきた。春の山菜、秋のキノコを売り物にしている産直で販売しているケースが多い。
酒田市の産直たわわのスタッフは「開設当初から販売しているが、組合員の中でも実が食べられると知らない人が多かった。スーパーで売っていない食材なので、調理法を聞かれることがある。1度食べた人がまた買うというケースが多い」と話す。
酒田市のめんたま畑でも2000年のオープン時から扱っていたが、最近になって人気が急上昇。「珍しさと独特のぬめり、変わった食感が好まれているようだ。料理屋から電話で予約注文がある。人気商品になった」とスタッフが解説する。
「山菜の宝庫」と言われる旧朝日村では、最近になって赤ミズの実が食用として認知されるようになった。産直あさひグーでもここ1、2年、赤ミズの実を「ミズの球」として出す生産者が増えている。
白滝麗子さん(47)は「秋田の田沢湖に家族で旅行した際、旅館の料理に出てきて驚いた。珍しいので自分も出すようになった」と話す。
赤ミズの実の料理法はゆでて水で冷やして水気を取った後、そばつゆに漬ける浅漬け、ミョウガやオクラなどとのあえ物、納豆と混ぜるなど、「箸休め」的な使い方のほか、みそ汁にしてもおいしいという。今月末まで産直施設で販売している。
新しい食材として注目されている赤ミズの実(右)と茎
2007年(平成19年) 10月24日(水)付け紙面より
料理研究家・辰巳芳子さんが代表を務めるNPO法人・良い食材を伝える会主催の「庄内フォーラム・歴史 文化 そして野菜」が22日、鶴岡市のグランドエル・サンで開かれ、在来野菜の宝庫として知られる庄内地域における食文化について考えた。
良い食材を伝える会は、辰巳さんの「食文化はあらゆる文化の母体。生命を守りうる食材を次の世代に贈っていきたい」との呼び掛けで1996年に発足。以来、良い食材を伝える活動として全国各地で食に関したフォーラムなどを開催している。今回は、地域が一体となって在来野菜の再生に取り組んでいる庄内地域に注目。会員約80人が来庄。地元と交流を深めた。
フォーラムでは、はじめに辰巳会長が「庄内を訪れるたびに美しく頼りがいのある水田に感動を覚える。水田風景や伝統野菜を残してきた歴史の火を絶やさず日本の食文化を支えていただきたい」とあいさつ。
続いて、「庄内の食文化」と題し、松岡物産代表取締役の酒井天美さんが記念講演。酒井さんは庄内地域の四季の食材を紹介しながら「ここに暮らし季節を感じながら、おいしいものをつくろうと努力し、それを命そのものとして食べている人たちが庄内の食文化をはぐくんできた。庄内の入門編として、それぞれの季節に訪れて山海の食をいただいてほしい」とアピールした。
また、在来野菜を研究する山形大農学部准教授の江頭宏昌さんは「在来作物は生きた文化財~庄内のフィールドを訪ねて」と題して基調講演。「伝統野菜や特産物で一年の暦ができるほど食べ物の旬が大切にされている。伝統的な栽培、調理法が本物の味を残してきたの庄内の食の特徴」と紹介した。
講演を受けたパネルディスカッションでは、同伝える会代表理事の中村靖彦さんのコーディネートで、江頭さん、イタリアンレストラン・アルケッチァーノのオーナーシェフ奥田政行さん、月山パイロットファーム取締役の相馬一廣さん、漬物製造・本長社長の本間光廣さんが「在来野菜の復活、その魅力」のテーマで、それぞれの在来野菜への思いなどを語った。
この中で在来野菜の魅力について、奥田さんは「味に特徴があり調味料で抑えつけられないが、自分なりの調理の方程式を見つけ出す楽しみがある」、生産者として相馬さんは「害を出さない野菜をつくるには、先祖が脈々と受け継いできた伝統野菜が最適」と語った。また、在来野菜が注目されている点について本間さんは「在来野菜は味にくせがあって一時期は嫌われていたが、野菜の多くが平板化されている中、昔の味、大人の味として求められているのでは」と述べた。
良い食材を伝える会の会員が庄内の在来野菜について学んだ