2007年(平成19年) 12月30日(日)付紙面より
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県が27日に示した2008年産米の市町村別の生産目標数量や、それを達成できない都道府県・地域にペナルティーを科すこともあるとした国の方針に、庄内地方の市町の農政担当者らから、疑問と不信の声が上がっている。
国が提示した来年産米生産目標数量「需要量に関する情報」は、県全体で07年産に比べて7770トン(1・99%)減の38万1940トン(面積換算6万4286ヘクタール)。このうち1449トンが過剰作付けのペナルティー分とした。
県では、過剰作付けがあったと報告した酒田市、三川町、庄内町、遊佐町など13市町に計417トン分を科し、残る1032トンについては国と市町村の作付面積把握の乖離(かいり)によるものとして全市町村に案分して振り分けた。このため、内陸のある市からは「過剰作付けを行っていないにもかかわらず、ペナルティーを受けるのはおかしい」という声が出た。
一方、過剰作付けがあったと報告して、ダブルでペナルティーを受けた庄内地方のある町の農政担当者は「ほかの市町村の報告が、どれほど実態に即したものなのか。データの取り方そのものが公平なのか」と、裏付けのない数字に疑問をはさむ。
この疑問について県生産技術課は「公文で報告を求めており、市町村の数字をそのまま(信用して)まとめた」と話し、あらためて裏付けを取ることは「しなかった」という。
また、国の「当面の生産調整の進め方」に、08年産米の生産調整を達成できない都道府県・地域について、▽08年産の産地作り対策が予定通り交付されないことがある▽09年産の同対策で不利な取り扱いを受けることがある―などのペナルティーが盛り込まれたことについても不満が漏れた。
ある担当者は「正直に減反に協力している農家が責任を取らされる。先が見えない取り組みだ」と話す一方で、「生産調整のあり方に疑問はあるが、改善要望し(目標数量を)受け止める」と、苦しい立場を吐露している。
他の担当者は「(国は)とにかく来年産の過剰作付けをなくしたいと、なりふり構わずに対策を出してきた感じがする。減反の非協力者にペナルティーを科すより、協力している農家へのメリットを厚くして、『こっちの方がいい』という政策にしないと計画外出荷は減らない」と指摘。
別の担当者は「今年から始まった政策が、もう見直しされている。これでは農家は将来展望を立てられない。われわれ末端行政も振り回される」と、「猫の目農政」に不信感を募らせた。