2007年(平成19年) 09月12日(水)付け紙面より
酒田市は、市内の家庭から回収したてんぷら油など食用油をバイオディーゼル燃料(BDF)に生成し、軽油の代替燃料として使う事業を11日、スタートさせた。市環境衛生課では、身近なところにあるものが地球温暖化防止や資源循環型社会につながる燃料になることで、環境について考えるきっかけになれば―と期待している。
BDFは、使用済み食用油にメタノールと触媒の水酸化ナトリウムを混ぜ、水分などを除去して得られるバイオマス(生物資源燃料)の一種。軽油と同じように使える。酸性雨の原因になる硫黄酸化物や黒煙の排出量が少なく環境に優しい。また、化石燃料の消費を抑えて地球温暖化防止にも貢献すると、全国的に注目されている。
市は、BDF生成活用事業として当初予算に1003万円を計上。7月1日から「燃やすごみの日」に、廃食用油をペットボトルや油の容器に詰めてごみステーションに出してもらう方式で回収を始め、7、8月の2カ月間で「想定よりやや多い」(市環境衛生課)2860リットルが集まった。市民を巻き込んでBDF事業に取り組んでいる自治体は県内では東根市に次いで2番目という。
酒田市は、年間1万6000リットルの廃食用油を回収し約1万5000リットルのBDFを生成できると推定し、ごみ収集車6台とクレーン付き貨物車1台をBDF専用車にして使っていく。
市が試算したBDF生成単価は1リットル当たり91円。市への軽油納入単価(8月=119・1円)より28円ほど低く、年間で約45万円の節約になると見込んでいる。
この日は、同市広栄町三丁目の同課車庫内の作業所でBDF製造開始式が行われ、阿部寿一市長がスイッチを押して製造機械を稼働させた。その後、製造済のBDFを阿部市長らがごみ収集車に給油。エンジンをかけると、てんぷらのにおいを漂わせながら走行した。
同課では「節減できる金額は小さいが、今までは燃やしてきた身近なものが燃料になるという流れに市民が加わることで、地球環境全体を考えるきっかけになれば」と話している。
ごみ収集車に生成されたばかりのBDFを給油する阿部寿一市長
2007年(平成19年) 09月12日(水)付け紙面より
死者5人、重軽傷者33人を出した2005年12月のJR羽越線特急「いなほ14号」脱線・転覆事故などを受け、気象庁気象研究所(茨城県つくば市)は、JR東日本などとともに、同事故の原因とみられている突風の発生を瞬時に探知するシステムの開発に取り組んでいる。開発に向けたデータ収集の一環として同研究所は、10日から庄内地域で「気象観測装置」の設置工事をスタートさせた。今月20日ごろまでに計26基を設置するほか、今年10月には風の状況が把握できる「ドップラーレーダー」を酒田市の庄内空港ビル屋上に整備する予定。
同研究所では、同事故の原因が突風とみられていることなどから探知システム開発を課題の一つに挙げていた。JR東日本が今年1月、再発防止対策の一つとして事故現場から約3キロ南側のJR余目駅屋上にドップラーレーダーを整備したことを受け、同研究所は庄内地域をシステム開発に向けた「モデル地域」とし今回、詳細な気象データを収集することにした。
庄内地域に設置する気象観測装置は風向と風速、気温、湿度、気圧、雨量強度を一度に観測することができるもので、直径約10センチ、高さ約30センチの円筒状。自治体などが所有する公園や駐車場などの一角に鉄製ポールを立てるなどし、高さ約5メートルの地点に取り付ける。同研究所によると、酒田市に12基、鶴岡市に4基、庄内町に6基、三川町に4基の計26基をほぼ4キロ間隔で設置する予定という。作業終了後から調整を行い、10月から観測をスタートさせる。
同研究所は今年10月下旬、庄内空港ビル屋上にドップラーレーダー1基を新設。さらに来年11月からは気球を飛ばして上空の気象データを集める「高層気象観測」も行う予定。JRで設置したドップラーレーダーを含め各観測で得られた気象データは、同研究所のコンピューターに送られ、これらを基に突風発生の原因などを分析し、探知システムを開発する。
設置工事初日の10日は、酒田市内で作業。設置個所の一つ、同市相沢のニュートラック松山駐車場では、同研究所台風研究部の楠研一主任研究官ら研究官2人とともに、東京都内の施工業者が訪れた。作業員が鉄製ポールを立てた後、高所作業車に乗り込み高さ約5メートルの部分に装置を取り付けていた。
楠研究官は「本年度からスタートし、09年度末までの3カ年計画となっている。探知システムの試作品をそれまでに完成させたい」と話している。
気象観測装置を取り付ける作業員=10日