2007年(平成19年) 9月25日(火)付紙面より
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世界遺産登録に向けたシンポジウム「出羽三山と最上川―織りなす文化的景観」が22日、鶴岡市の東北公益文科大大学院ホールで開かれ、登録に向けた課題などについて探った。
世界遺産登録に向けた講演とパネルディスカッションを通して住民にアプローチし、現状把握と機運盛り上げにつなげようと、県と特定非営利法人(NPO)「公益のふるさと創り鶴岡」が主催した。
シンポジウムでは、山形大農学部の岩鼻通明教授が「出羽三山と最上川が織りなす文化的景観まんだら」と題して基調講演を行い、出羽三山信仰と文化などについて解説した。
続いて芭蕉・清風歴史資料館の梅津保一館長、県世界遺産推進室の渡部泰山室長、ルポライターの高橋まゆみさん、美しい山形最上川フォーラムの佐藤五郎副会長、羽黒山伏の星野尚文さんの5人が「人々の生活から探る出羽三山と最上川の魅力」をテーマにパネルディスカッションを繰り広げた。
その中で「世界遺産を目指すなら日本人の視点だけでなく、世界の人の視点も加味すべき」「団塊世代などの観光客を呼び込むには知識欲を満足させることも必要になる」「羽黒山が持つさまざまな資源を再生することが地元に生きる者たちの使命」といった意見や提言が出ていた。
世界遺産登録に向けて意見を交換したシンポジウム
2007年(平成19年) 9月25日(火)付紙面より
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末期がん患者の心身の苦痛を和らげ、充実した暮らしにつなげる「緩和ケア」に理解を深める市民公開講座「庄内緩和ケア講演会」が22日、酒田市の東北公益文科大公益ホールで開かれ、俳優の石坂浩二さんらが緩和ケアの可能性などについて講演した。
緩和ケアは、主に末期がん患者や家族を対象に、痛みや精神的な苦痛を取り除き、生活の質を高める医療。わが国でも近年、徐々に浸透しているが、痛みの除去に使われるモルヒネに対する誤った認識を解くなど本格的な普及に向けた課題が少なくない。
講演会は、緩和ケアについて市民に理解を深めてもらおうと、酒田地区医師会(本間清和会長)と日本がん協会などが企画した。約800人が聴講した。
はじめに、「緩和医療への期待」と題して石坂さんが講演。大腸がん治療の経験などを踏まえ「医師から『顔色がよくなってきた』などと声をかけてもらったことで、元気が出て、がんは治るという思いを強くした。がんに限らず、精神的な苦痛を取り除かないと本当の緩和医療にはならない。言葉が大切であり、同じ思いをしている方々を勇気づける役目を自分が担えれば」と語り、精神面のケアの大切さを強く訴えた。
続いて、国立がんセンターがん対策情報センターの的場元弘室長が「がん治療では鎮痛剤で痛みを除去することで日常生活を送ることができる場合もある」とし、医療用麻薬を正しく理解し利用する必要性を説いた。また、山形大医学部放射線科腫瘍分野の根本建二教授が放射線による除痛治療の有効性について講演した。
最後に、石坂さんら講演者3人と日本緩和医療学会の江口研二理事長が会場からの質問などに答え、緩和ケアの重要性を強調した。
俳優の石坂浩二さんらの講演を通じ、緩和ケアへの理解を深めた