2008年(平成20年) 10月1日(水)付紙面より
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庄内空港発着の大阪線を運航するアイベックスエアラインズ(本社・東京、服部浩行社長)は、庄内―伊丹間の運航を来年3月末で取りやめる方針を固め、30日に同路線の廃止を国土交通省に届け出た。2004年4月に庄内―伊丹線就航以来5年間で同路線を廃止する。同社は搭乗率低迷による採算性の悪化と燃油高騰を撤退の理由に挙げており、県や庄内空港利用振興協議会(会長・富塚陽一鶴岡市長)は路線廃止の撤回を強く働きかけていく方針。
県などによると、庄内―伊丹線の廃止については9月24、25日に同社から地元側に連絡があった。県交通政策課は「搭乗率向上に向けた需要喚起など会社側とともに進めようとしていた矢先の知らせは、まさに青天のへきれきだった」とする。29日には、県と同協議会役員らが急きょ上京、同社の本社で服部社長と会い、運航継続の要望書を手渡し路線の維持を訴えた。
これに対して服部社長は「04年の運航開始から搭乗率が伸びず、毎年億単位の赤字を出してきた。燃料費高騰で会社の体力が落ちている中、これ以上、赤字路線の維持はできない。今後も搭乗率の伸びは期待できず廃止したい」などと述べ、路線廃止の決定に変更がないことを強調したという。
50人乗りの小型機を運航する同社は、旧フェアリンク時代の04年4月に庄内―伊丹線に1日1往復で通年就航。全日空が前年の11月で大阪線を廃止した後を受ける形で、庄内と関西圏を結ぶ航空路線が復活した。
年間平均搭乗率は04年度が49%、05年度51・3%、06年度54・5%、07年度54・4%と推移。本年度は8月までの49・9%の平均搭乗率となっている。同社の広報担当は「搭乗率65%が採算ライン。年間ベースでは開設以来一度も黒字にならず、庄内―伊丹線のこれまでの累積赤字は約5億円に膨らんでいる」と説明。
同社は伊丹空港と庄内、秋田、仙台の各空港とを結ぶ路線のほか、全日空との提携によるコードシェアリング方式で成田空港と札幌や仙台、広島などの各空港と結ぶ路線、同方式による福島―伊丹線を運航している。本年度末で廃止を計画するのは庄内―伊丹線だけ。
庄内空港利用振興協議会などは、大阪線の需要喚起に向け旅行商品への補助やモニター募集、企業の研修旅行の働きかけ、庄内全戸へのチラシ配布などを展開してきた。同社が路線廃止を決めたことについて、同協議会長の富塚鶴岡市長は29日、荘内日報の取材に対し「廃止が確定したわけでない。搭乗率が上がるという状況になれば、会社側も路線を存続するだろう。厳しいことには違いないが、路線存続を望む庄内の住民の声を強く訴え、廃止の撤回を求めていく」と話した。
同社の庄内―伊丹線が廃止されれば、昨年8月で全日空が廃止した庄内―札幌線に続く路線廃止となり、庄内空港の定期路線は東京線のみとなる。