2008年(平成20年) 10月1日(水)付紙面より
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日本海沿岸東北自動車道(日沿道)の早期実現に向けた「日沿道の現状と課題講演会」が29日、酒田市のガーデンパレスみずほで開かれた。前国土交通省道路局長の宮田年耕氏の基調講演と地元各界代表らによるパネルディスカッションを通して、「日沿道」全線開通に向けた運動に地域が一丸となって取り組むことの重要性を確認した。
日本海沿岸地域のにぎわいづくりを目指す北前船コリドール(回廊)構想を推進する株式会社「北前船庄内」(新田嘉一社長)が主催。庄内への観光誘客に取り組むやまがた出羽の国「庄内」地域活性化コンソーシアムなどが協賛した。
県内関係の日沿道のうち、温海―鶴岡間26キロは2011年度の開通が見込まれているものの、新潟朝日―温海36キロ、酒田みなと―秋田象潟28・6キロの両県境部分は基本計画区間のまま。昨年11月に作成された国の道路中期計画素案で、県境部分の2区間について「完成2車線」での整備方針が示されたが、道路特定財源の一般財源化論議の中で、10年間の計画が5年に短縮され、内容も見直す閣議決定がなされた。
講演会には新潟、秋田両県を含む沿線地域の官民の関係者490人が参加。冒頭、主催者を代表して北前船庄内の新田社長が「全線開通に向けて沿線地域が一丸となって新たな行動を起こすきっかけにしたい」とあいさつした。
宮田前局長が「高速道路の今後」と題して、高速道路建設の経緯を振り返りながらその効果などを検証。「全線開通すれば沿線の国道など現道の交通量も伸び、日本海沿岸の物流の大転換になる」と指摘した。今後の進め方として「基本計画区間を整備計画区間へ昇格させる運動と、残る区間の事業費500億円を毎年度、どうやって確保するかが課題。金銭換算だけで道路の必要性を評価する人たちに地域の実情を伝えていく必要がある」とアドバイスした。
その後のパネルディスカッションでは、深澤淳志国交省道路局国道・防災課長、庄内広域行政組合理事長の富塚陽一鶴岡市長、庄内開発協議会長の阿部寿一酒田市長、本間清和酒田地区医師会長、新田嘉七平田牧場社長、前田直之酒田商工会議所常議員、小野寺正人酒田青年会議所理事長、日本海夕陽ラインネットワーク協議会会長で平間保智いわふね青年会議所理事長の橋本聡由利本荘青年会議所理事長のパネリスト9人がそれぞれの立場から日沿道に対する思いなどを語った。
「地域間交流の拡大には日沿道が欠かせない」「安定的な物流の輸送の面でも必要」といった声や災害発生時の代替ルート確保の必要性のほか、新潟、山形、秋田3県が一体となったネットワーク構築など従来とは違った視点からのアプローチもあった。
日沿道の全線開通に向けた運動の展開の方策などを考えた講演会