2009年(平成21年) 2月19日(木)付紙面より
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東北経済産業局などによる産学官連携推進セミナーが17日、鶴岡市の鶴岡メタボロームキャンパスで開かれ、メタボローム解析の世界的な研究拠点となっている慶應義塾大先端生命科学研究所を核としたイノベーション(技術革新)創出の可能性と知的クラスター(群)形成について探った。
文部科学省と経済産業省が創設し国の新年度予算案に盛り込んだ「産学官連携拠点事業」の紹介と説明を兼ね、東北経産局が県、鶴岡市、慶大先端研とともに産学官連携による地域活性化をテーマにしたセミナーを企画した。連携拠点事業の説明会は全国各ブロック1カ所ずつの開催だが、東北ブロックについては、世界的評価が高まる慶大先端研に焦点を当て連携の可能性を探ろうと、仙台と鶴岡の2カ所で実施した。山形大農学部や東北公益文科大などの高等教育機関、企業関係者、金融機関などから約70人が参加した。
はじめに経産省大学連携推進課と文科省新技術革新室の担当者が、産学官連携拠点の形成支援など新年度予算案と施策の内容を説明。日経BP社医療局主任編集委員の宮田満さんが「鶴岡発産学官連携への可能性と期待」と題して講演した。
宮田さんは、慶大先端研と慶応の大学発ベンチャーで鶴岡に設置されたヒューマン・メタボローム・テクノロジーズ(HMT)を中核とした知的クラスターの形成を提言。「昨年4月に科学技術振興機構がメタボロームを『日本が強い技術』に認定した。鶴岡にあるメタボロームの研究拠点が、国際的に競争力があると政府も認めた。先端研を核に技術革新の連鎖が始まりつつあり、鶴岡に知的コアが出来始めている。さらに才能の吸引が必要であり、鶴岡がインテリジェントクラスターのトップランナーであり続けるためには支援が欠かせない」と語った。
この後、東北大大学院の西澤昭夫教授をコーディネーターに、慶応先端研の冨田勝所長、HMTの菅野隆二社長、東北経産局の根井寿規局長らがパネラーとなって意見交換。冨田所長と菅野社長による研究や事業の概要紹介を受け、米国の産業クラスター形成にもかかわった経験を持つ根井局長が「世界レベルのベンチャー形成のビジネスモデルからみても、この鶴岡はうまくいくものの典型であり、夢物語ではなく現にできている地域。われわれはいくらでもお手伝いする」と述べた。
慶大先端研を核にした知的クラスター形成の可能性探った産学官連携セミナー