文字サイズ変更



  • プリント用表示
  • 通常画面表示

荘内日報ニュース


日付の新しい記事へページを移動する日付の古い記事へ
  • ニューストップ
  • 最新記事
  • 戻る

2009年(平成21年) 5月9日(土)付紙面より

ツイート

森の時間 16 ―山形大学農学部からみなさんへ―

花より牛丼 小山 浩正

 生物学は経済学と似ている部分が多く、両者は相互に影響を及ぼすこともあります。子孫をできるだけ残そうとするのが生き物の性(さが)であり、資産を増やしたい欲望が経済の原動力ならば、両者に共通点が多いのは当然です。ですから、人間が編み出した経済的手法の中には、すでに植物が本能的に実行しているものも見当たります。最近注目されている資産運用法として、時間をずらして分散投資するドルコスト平均法というものがあるそうですが、そんなことは植物なら昔から当たり前にやっています。野生植物の種子は一度にすべてが発芽することはなく、時間的にバラバラなのが普通です。何かあった時のための保険をかけて絶滅を回避する仕組みです。株価と同様に変動しやすく、予測しがたい環境で破綻を防いで生き抜くための知恵と言えます。

 では逆に、経済的営みで何か生物の理解の参考になることがあるでしょうか? こんなことを考えてみました。薄利多売のファストフード店は、お客をより多く集める必要があるのは当然ですが、それ以上に客の回転率を高めることが至上命題だそうです。だから、呼んだ客をいかに早く帰らせるかも大事な戦略となります。そのため、ある牛丼チェーンはカウンターテーブルの幅を70センチに設計しているそうです。これだけ狭いと、くつろげないので食べたらさっさと出て行くわけです。私にはカウンターの椅子が高くて足が宙ぶらりんになるのも同じもくろみに思えます(足が短いだけか?)。

 ここで花を店舗に、花の蜜を吸いに来る昆虫を客に例えて樹木の経済戦略を考えてみましょう。客(昆虫)にいっぱい来てもらうためには、大きな看板(花びら)を付けてアピールしたい所です。しかし、大きな花に蜜をたくさん詰め込むと、虫に長居されてしまう恐れがあります。花粉の交換さえ終われば長居されても困ります。この矛盾を解決するには、蜜の少ない小さな花をたくさん密集させるのが良いでしょう。こうすれば全体でディスプレーしながら各花の蜜はすぐ消費されるので長居されることもありません。でも、虫が隣の小花にハシゴしてしまうと、結局は自分の花粉を受け取るだけですから、樹木としては迷惑な話です。これを避けるには、集まった小花が日をおいて順々に咲いて行くのが効果的なはずです。こうすれば、ほかから花粉を運んで来た昆虫は、すぐに立ち去り、また別の木へ花粉を運んでくれます。しかも、彼らは常連となって同じ動作を毎日繰り返してくれるかもしれません。実際にトチノキは、小さな花が集まって一つのかたまりを作り、小花は下から順に咲いて行きます。ライラックやフジなども似たような小花のかたまりを次々と咲かせます。樹木と牛丼チェーンは意外に同じ戦略でつながっているのかもしれません。

 ところで、この話を学生さんにしたら「なんとなく悔しいから70センチのカウンターで居座ってやる」と言っていました。どうせなら勉強机で長居してほしいんですけど…。

(山形大学農学部准教授 専門はブナ林をはじめとする生態)

トチノキの花/鳥海山山麓にて=自然写真家・斎藤政広撮影(1995年5月16日)
トチノキの花/鳥海山山麓にて=自然写真家・斎藤政広撮影(1995年5月16日)


2009年(平成21年) 5月9日(土)付紙面より

ツイート

甘ーい香り漂う 10日まで「ふじの花まつり」 鶴岡

 鶴岡市藤島地域の「第18回ふじの花まつり」が8日から始まった。10日までの期間中、市藤島体育館周辺を会場に、フジの花の盆栽展や中心街を散策するウオークラリー、ミニコンサートなど多彩な催しが行われる。

 「ふじの里ふじしま」を広くアピールしようと、藤島庁舎や藤島観光協会などが実行委員会を組織し、フジの花が咲くこの時期に毎年開いている。

 同体育館の屋内練習場が会場の盆栽展には同地域や庄内町の愛好者50人から計129点が出品された。白色と紅色が交じった「昭和紅藤」や優雅な薄紫色の「野田藤」、白色の「昭和白藤」などが競い合うように咲き誇り、会場は甘い香りに包まれた。初日から地元住民を中心に大勢の人が訪れ、色とりどりの花を楽しんでいた。

 このほか、9日には中心街のフジの花の名所や観光施設を回る「藤めぐりウオークラリー」、9日と10日にはオカリナやギター、ゴスペルのミニコンサート、地元農産物の直売市などが行われる。また、東田川文化記念館ではまつりに合わせ20日まで「ふじの里芸術文化展」などが開かれている。

フジの花が会場に甘い香りを漂わせている
フジの花が会場に甘い香りを漂わせている


2009年(平成21年) 5月9日(土)付紙面より

ツイート

五穀豊穣を祈願 出羽三山神社 御田植神事と記念大祭

 出羽三山神社(緒方久信宮司)の祈年祭が8日、羽黒山頂の同神社合祭殿で行われ、田植えを模した神事と舞の「御田植神事」で五穀豊穣(ほうじょう)を祈願した。また、今年が「丑歳御縁年(うしどしごえんねん)」を迎えたことから、記念大祭を併せて執り行った。

 丑歳御縁年は、開祖・蜂子皇子が約1400年前、羽黒山、月山に続いて丑年に“奥の院”の湯殿山を開山した縁起などから、丑年をもって出羽三山全体の御縁年とされる。この年に参拝すると12回お参りしたのと同じ御利益があるとされている。

 この日は午前11時から祈年祭と記念大祭が始まった。祝詞奉上などを行った後、内拝殿を田んぼに見立て、神職が鍬(くわ)や鋤(すき)を手に持ったり牛の面を着けたりし、田起こしや代掻(しろか)き作業を再現。続いて巫女(みこ)たちも加わり、苗に見立てた松の枝を手に、雅楽の演奏に合わせて優美な田植えの舞を奉納した。

 この日合祭殿には、丑歳御縁年ということもあり庄内一円をはじめ県内外から大勢の農業者や信者などが参列し、拝殿に入り切らないほどになった。その中で参拝者は田植えの舞の奉納上演を楽しみながら、今年の豊作を祈願していた。

御田植神事が行われ、牛の面をかぶった神職が田を耕す様子を表した
御田植神事が行われ、牛の面をかぶった神職が田を耕す様子を表した



日付の新しい記事へページを移動する日付の古い記事へ

記事の検索

■ 発行月による検索
年  月 

※年・月を指定し移動ボタンをクリックしてください。
※2005年4月分より検索可能です。

 
■ キーワードによる検索
   

※お探しのキーワードを入力し「検索」ボタンをクリックしてください。
※複数のキーワードを指定する場合は半角スペースを空けてください。

  • ニューストップ
  • 最新記事
  • 戻る
ページの先頭へ

Loading news. please wait...

株式会社 荘内日報社   本社:〒997-0035 山形県鶴岡市馬場町8-29  (私書箱専用〒997-8691) TEL 0235-22-1480
System construction by S-Field