2010年(平成22年) 03月16日(火)付け紙面より
酒田市黒森地区に江戸時代中期から伝わる「黒森歌舞伎」で、来年2月に行われる正月公演の演目を決める儀式「太夫振舞(たゆうふるまい)」が14日、同地区の日枝神社で行われ、若手役者による「ご神籖(しんせん)の儀」で、来年の演目は「一谷嫩軍記(いちのたにふたばぐんき)」に決まった。
「太夫振舞」は、芝居奉納を受けた神社が、役者らを招いて開く宴。この中で、水ごりで身を清めた若者が、ご神体に代わる神籖者として翌年の演目を選び出すのが「ご神籖の儀」。神事的芸能の要素を残す黒森歌舞伎独特の儀式として伝えられている。
今年の神籖者は、2月の舞台を踏んでいる地元の公務員、星川辰也さん(33)。神社でお払いを受けた後、白い下ばき1つの姿で社殿を出て境内の井戸で水ごり。手おけで7杯半の冷水を浴びて身を清め、再び神前に正座。竹の棒に付けたこよりで、一升ますの米の上に置かれた演目候補のくじ3本から1本を引き寄せた。
来年の出し物に決まった「一谷嫩軍記」は、源平盛衰記をモチーフにした時代浄瑠璃。1751(宝暦元)年に大阪・豊竹座で初演。源氏方の武将・熊谷直実は、平敦盛を助けるために自分の子を殺し身代わりにしたが、その後、無常を悟り仏門に入るという物語。黒森歌舞伎では1998年以来、13年ぶりの披露となる。