2010年(平成22年) 4月29日(木)付紙面より
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酒田仲卸業相互会
酒田魚市場(酒田市船場町二丁目)に店舗を構える7軒の仲卸業者でつくる「酒田仲卸業相互会」(谷口昭雄会長)は、市場内での一般消費者への直接販売を開始した。主な取引先だった鮮魚店の減少といった逆境下、消費者に「朝市」として門戸を開放するという策に打って出た。鮮魚以外でも乾物、総菜などの専門店が軒を並べており、「酒田の台所」を目指したいと意気込んでいる。
酒田魚市場内にはの12店舗用区画が設けられているが、長引く不況や後継者難などから廃業する店が相次いでいる。谷口会長は「世代交代もうまくいかず、ここ10年ほどの間で6店が抜けた。新規で1店が入ったものの、残った区画はほかの仲卸でスペースを埋めている状況」と解説する。
仲卸は本来、地元や県外などの産地から魚介類を仕入れる卸売と小売店との取り次ぎ役で、一般への直接売りはしない。しかし、スーパーや旅館といった大口取引先で仲卸を通さない直接買い付けが増えるなど、近年は流通体系が変化している。東京・築地でも廃業する仲卸が増加しており、全国的な傾向となっている。
難局打開の起爆剤、生き残り策として、酒田仲卸業相互会は市民への直売の導入へとかじを切った。鮮魚店のように一般消費者が箱単位で買っていくのは難しいため、鮮魚は1匹単位からでも販売し、要望があれば内臓を取り除くといったサービスも行う。
7軒の仲卸には鮮魚のほかに乾物、筋子や干物といった塩干物(えんかんぶつ)、総菜などを扱う「専門店」がそろっており、いろんな商品を買い求めることができる。鮮魚に関しては安さと新鮮さ、豊富な種類がセールスポイントだ。
鮮魚を扱う阿部鮮魚店の渋谷真二常務は「安さなら庄内で一番。普段は地物が半分以上を占めるが、海が荒れて地元の船が出漁できないときでも常時、30―40種類の魚がそろう」と胸を張る。
「朝市」は15日からスタートしたが、PR不足もあり、現時点では客足は「ぽつぽつ」(谷口会長)という状態。祭り用の魚を求めるため26日、夫婦で足を運んだ市内の女性(74)は「初めて来たが、魚の生きがいい。値段も安ければまた来たい」と話していた。
港町の魚市場には観光客が立ち寄ることも多い。渋谷常務は「地元の人に買ってもらうのが第一だが、観光客にも旅館やホテル、見学施設など、酒田のおすすめスポットを紹介し、観光振興にも一役買いたい」と意欲を燃やしている。
朝市の営業は市場が休みの日曜と祭日、月2回程度の水曜を除く毎日で、時間は午前5時から正午まで。問い合わせは相互会事務局=電0234(24)1575=へ。
由良刺網組合
鶴岡市の由良漁港で28日、漁業者自らが水揚げしたヒラメの直売が始まった。
直売は、漁業者が率先して魚の消費拡大を図るとともに、地魚のおいしさをアピールしようと由良刺網組合が今回初めて実施。同組合のうち、ヒラメ漁を行う5隻の漁船の漁業者と協力し、由良沖で捕れるヒラメを安価で提供する。
販売初日の28日は、前日に水揚げしたヒラメを約100匹準備し、午前8時半から同漁港にある県漁協由良総括支所脇の岸壁で直売を開始した。訪れた買い物客たちは、かごの中に入れたまま海に入れておいたヒラメを引き上げてもらい、品定め。“バタバタ”とはねるいきがいいヒラメを1匹、2匹と買い求めていた。
販売期間は来月15日まで。毎日午前8時半から同11時まで行われ売り切れ次第終了。悪天候で漁に出られない場合は直売を休む。同組合は「ヒラメの直売は消費者拡大の第一弾。来年以降はヒラメの料理講習会や漁の体験なども直売と一緒に行い、消費者に地魚のおいしさをPRしていきたい」と話していた。
2010年(平成22年) 4月29日(木)付紙面より
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鳥海山の中腹を通り遊佐町と秋田県にかほ市を結ぶ山岳観光道路「鳥海ブルーライン」(延長約35キロ)が28日、開通した。登るにつれて雨が激しくなるあいにくの天候の中、待ちかねた行楽客らが訪れ、県境近くに形成された雪の回廊のドライブを堪能した。
この日、遊佐町側では小野曽集落の旧料金所前で開通式が行われ、神事でシーズン中の無事故と登山客らの安全を祈った。時田博機町長が「鳥海山を遊佐、山形の誇りとして全国に向けて発信したい。力添えを」とあいさつした後、地元選出県議らとともにテープカットした。
その後、パトカーを先頭に大平山荘に向けて出発した。関係者によると、今年の積雪量は例年に比べ、若干少ないという。それでも標高1000メートルの大平山荘付近や県境付近はまだ雪に覆われ、道路沿いは高さ2―3メートルの雪の回廊となっていた。
「雪が見たかった」と一番乗りした仙台市青葉区の佐々木高一さん(60)、幸子さん(57)夫妻は「ブルーラインは3回目。海が見られるのがいい。東北地方のほかの山岳道路にはない魅力」と話していた。