2010年(平成22年) 9月9日(木)付紙面より
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酒田市平田地域の楢橋地区に伝わる楢橋神代神楽(市指定無形民俗文化財)が7日夜、鎮守の玉池神社(今井宣幸宮司)で奉納上演され、勇壮な舞で観客を魅了した。
この神楽は、はやり病をはらい五穀豊穣(ほうじょう)を願おうと1887(明治20)年、同市の本楯神代神楽を手本にして同神社に奉納したのが起源という。1962年まで続いたが後継者不足などで中断。地元の若者たちが75年に復活させた。その後、保存会(枝春男会長)が結成され、82年からは「どこにいても故郷を自慢できるものを覚えてほしい」と、小学生にも教えている。
伝わっているのは日本神話や昔話を題材にした約20演目。太鼓と横笛、鉦(かね)の伴奏に合わせて独特の抑揚のあるせりふを唱えながら、同神社の例祭日(9月8日)と宵祭り(7日夜)に、境内の常設舞台で演じている。
奉納は7日がメーンで、今年も近くの南平田小学校女子児童2人による巫女(みこ)舞などに続き、「伊邪那岐命(いざなぎのみこと)」「八幡太郎義家」と、須佐之男命(すさのおのみこと)による八岐大蛇(やまたのおろち)退治が内容の「八坂の舞」を上演。途中、同校の3―6年生男女計10人による豊作、家内安全祈願の「花笠の舞」が、地元に古くから伝わる歌に合わせて披露された。
同夜は雨が上がって涼しい風が吹き、観劇には絶好の条件。境内には近くの住民らが三々五々集まり、時に激しい動きを交えながら勇壮に演じられる舞に酔いしれていた。