2011年(平成23年) 3月24日(木)付紙面より
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鶴岡市黒川の春日神社で23日、祈年祭が行われた。五穀豊穣(ほうじょう)を祈願するとともに、東日本大震災で失われた命の冥福と被災地の復興を願い、黒川能(国指定重要無形民俗文化財)の奉納舞が披露された。
祈年祭は、11月23日に行われる新嘗祭(にいなめさい)とともに同神社を代表する農耕神事。この日は地元黒川地区の住民が参列し、祝詞奏上で被災地の一日も早い復興を祈願した。続いて笛や琴の音色に合わせ、神官たちがくわやすきで土を耕し、みこ姿の子供たちが稲を植えるしぐさで農作業の様子を舞い、今年の豊作を願った。
今年の奉納舞は上座が能「黒塚(くろづか)」、下座が能「岩船(いわふね)」と狂言「蟹山伏(かにやまぶし)」の計3番。このうち「岩船」は、従者とともに住吉の浦に下った臣下のもとに童子が現れ、舞を舞う。続いて金銀珠玉を積んだ岩船を引く龍神が現れ、数々の宝を帝にささげて国家の守護を誓う―という物語。
神社内の能舞台には鼓や笛の音が響き渡り、演者たちが黒川能独特の謡と舞を繰り広げ、集まった能楽ファンを魅了した。