2011年(平成23年) 7月3日(日)付紙面より
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東北の観光振興策を探るフォーラム「東北復興観光プロジェクトin庄内」が1日、酒田市のガーデンパレスみずほで開かれた。観光庁の溝畑宏長官が講演。「東北、日本に元気を取り戻すため、庄内、山形から風を起こす気持ちで頑張ろう」とげきを飛ばした。また、見並陽一JR東日本常務の進行で田端浩観光庁観光振興部長らが意見交換。今が4―5泊の「ロングステイツアー」を企画するチャンスで、「庄内こそがその最適地」などの声が出た。
東日本大震災の影響で大きく落ち込んでいる東北地方の観光の再生策を考え発信していくことで、被災地にエールを送るとともに震災復興に結び付けようと、北前船庄内(社長・新田嘉一平田牧場会長)、庄内観光コンベンション協会(会長・榎本政規鶴岡市長)などが実行委員会を組織し主催。約300人が参加した。
本間正巳酒田市副市長の開会あいさつに続き、見並常務が「大震災による負の連鎖が続く。今日のイベントを通じて『ここは元気』と発信していくことが目的。前向きの取り組みを披露してもらうことが、東北、日本を元気にする」とフォーラム開催の趣旨を述べ、老舗旅館「亀や」(鶴岡市湯野浜)、庄交トラベル(同市錦町)、最上峡芭蕉ライン観光(戸沢村古口)の代表らが震災後の状況を報告。厳しい現状を会場全体で認識した。
新田会長が「地域の大きな産業の一つは観光事業と、強く申し上げてきた。行政に頼らず私たち一人一人が汗を流しながら運動することが大事。今こそ被災地に大きなエールを送るとき。被災者を元気づけることができるよう、このフォーラムが成功することを祈る」と主催者あいさつした。
高橋節副知事の歓迎の言葉などに続き、溝畑長官が講演。「観光は人に幸せを与える。それにはまず、そこに住む人が楽しくなければいけない。『おれの古里は一番。だから来てほしい』と地元の意識を高めることだ」「この1、2年が日本の歴史の転換期になる。庄内、山形から風を起こす気持ちで頑張り、地域振興に取り組もう」と呼び掛けた。
また、見並常務がコーディネーターになり、田端部長、作家の石川好酒田市美術館長、舩山龍二日本観光振興協会副会長、稲岡研士ANAセールス社長、黒沢洋介山形新聞社長が意見交換。北海道から東北の日本海側までを網羅した観光コンテンツの造成や出羽三山を生かしたツアー、これから旅行の主流になるとみられる「ロングステイ」への対応などの提言があり、見並常務が「庄内には景観、歴史・文化、食など条件がすべてそろっている。一つ一つを磨き上げることで庄内が元気になり、そして東北、日本が元気になる」と結んだ。