2012年(平成24年) 3月2日(金)付紙面より
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鶴岡市立加茂水族館(村上龍男館長)で29日、「不死のクラゲ」として知られるベニクラゲをテーマにした新しいレストランメニュー『ベニクラゲ不老不死膳』の試食会が行われた。実際に使用されているのは食用のエチゼンクラゲなどだが、ごまやくず粉などの健康食品と組み合わせ、「ベニクラゲにあやかって健康で長生きできるように」と思いを込めたメニューで新たな話題を提供していく。
ベニクラゲは死を迎える際、体からポリプ(刺胞動物の基本形)を生み出し、稚クラゲとなって若返る不思議な生態を持つ。このベニクラゲをヒントに、同館は昨年末ごろから「新水族館の完成に向けて、レストランもレベルアップしてお客さんを迎えよう」と新メニュー開発を進めてきた。
ベニクラゲは平均の体長5、6ミリと小さく食用には向かないことから、これまでレストランのメニューに使っていたエチゼンクラゲをそのまま使うことに決めた。その上で、プロの料理人からプロデュースしてもらったメニューを打ちたてようと、酒田市の料亭「鵜渡幸」の総料理長・須田剛史さん(36)にメニュー考案を依頼した。
この日の試食会には、地元の旅館関係者など約20人が出席。発表された「ベニクラゲ不老不死膳」のメニューは「浅ネギとクラゲ、若鶏のごま酢みそあえ」や、「くらげの生春巻き」などの前菜、『細く長く長生きができるよう』という意味合いの「くらげの魚麺」、「くらげのつみれ」やサツマイモ、桜麩などの煮物、「くらげ茶碗蒸し 銀餡(ぎんあん)掛け」など12品。
デザートはカシスアイスに葛(くず)寄せを乗せ、綿あめで包んだ一風変わった品を披露した。温かいコーヒーをかけると綿あめが溶け、中からベニクラゲをイメージした赤いアイスが現れるというもの。「白い綿あめもクラゲで、溶けたら別のクラゲが現れるという“再生するベニクラゲ”を表現した。メニューの中で最も考えるのに時間がかかった品」(須田さん)という。
試食とともに、須田さんは「老化を遅らせる効果があるごま、滋養強壮効果があるくず粉に加え、食用になるクラゲは加熱すると消化不良を解消し、血圧を下げる効果がある」などと説明。健康に配慮したメニューを考案したと伝えた。
出席したつかさや旅館の若女将・庄司愛恵さん(26)=鶴岡市湯田川=は「くせがないコリコリした食感で、とてもおいしい。見た目も華やかで楽しいお膳」と話した。また、村上館長は「一流の料理人の手でレストランメニューが進化した。遠方から来てくれるお客さん、地元の皆さんをおいしい料理で歓迎し、喜んでもらえれば」と話した。
不老不死膳は今月19日ごろ、同館クラゲレストランで提供を始める予定。料金は1人前1000円(デザート付き1200円)。