2012年(平成24年) 4月6日(金)付紙面より
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鶴岡市湯田川の鶴岡市農協湯田川催芽場で種もみの芽出し作業が始まった。作業員たちが連日、種もみが入った袋をお湯に浸して発芽させる作業を進めている。
温泉湯を使った芽出し作業は、江戸後期の1848(嘉永元)年に当時の湯田川村の大井多右衛門が始めたとされ、地元の由豆佐賣神社に功績をたたえる石碑が残されている。現在は温泉街北側の催芽場のコンクリート水路に温泉湯が引き込まれ、地元住民による臨時作業員が毎年この時期に芽出し作業を行っている。
5日は午前5時から約15人が作業に当たった。農家の軽トラックから種もみが詰まった袋を下ろすとともに、前日持ち込まれた袋をお湯が満たされた水路に次々と浸した。この日だけで約4・7トン分の袋を浸すという。
種もみは催芽場で32―33度のお湯に12時間浸した後、水路に渡した板の上でコモをかけて半日ほど蒸すと発芽が促される。専用の機器を使った芽出しに比べコストが安く、発芽が均一になり苗作りが楽になるなどメリットがある。
市農協によると、今シーズンは庄内一円と新潟県村上市などの農家約1000戸から、はえぬきやひとめぼれ、つや姫、コシヒカリなど計約210トンの種もみを預かる予定。2日から農家が種もみを持ち込み始め、翌3日から作業を開始。連日、午前8時と午後1時、同4時の3回に分け、種もみをお湯に浸している。10日ごろから量が増え、ピークは前年よりやや早い14日ごろの見込み。作業は今月いっぱい続けられる。
例年、ピークを迎えた後は種もみの取扱量は急激に減るが、3日から4日にかけての強風でビニールハウスが損傷した農家が多く、「発芽させても育苗できないので、芽出し作業を1週間ほど遅らせてほしい」といった要請が4日まで約30件寄せられた。このため今季の作業は20日ごろまで忙しい状態が続く。