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2013年(平成25年) 1月1日(火)付紙面より

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今こそ庄内藩校精神

今こそ庄内藩校精神
荘内日報社社長 橋本 政之

 新年明けましておめでとうございます。皆さまには日頃「荘内日報」をご愛読、ご利用いただき誠にありがとうございます。年の初めに当たり、あらためて深く感謝申し上げます。
 「荘内日報」は1946(昭和21)年、前身の「荘内自由新聞」の週刊発行に始まり、今月17日で満67年の歴史を刻みます。「庄内はひとつ」を創刊の理念に、「時代をつなぎ、地域をつなぎ、心をつなぐ」を郷土紙の使命と心得ています。
 「庄内」というくくりは、旧庄内藩主酒井家の歴史と重なります。酒井家3代・忠勝公が信州松代からこの地に移ったのが1622(元和8)年。2022(平成34)年には入部400年を迎えます。
 庄内空港実現に一丸となっていたころ「庄内33万人の悲願」と訴えていました。開港20周年を前に2010年(平成22)年の国勢調査では30万人を割りました。子供が減り高齢化が進んでいます。世界規模では人口爆発でも日本は減少期に入り、人口構造の変化で活力が衰えた地域も多いようです。
衰退の後に再び勃興するというのは戦後の日本に限りません。ただ、衰えた時期に何もせず手をこまねいていれば新たに興ることは望めず、亡国の歴史もあまた。そんなときだから、「教育は国の礎」とあらためて思います。
 「国がおこるのも、まちが栄えるのも、ことごとく人にある。食えないときこそ教育が大切。苦しい時こそ人づくり」
 教育第一主義の思想は、庄内藩などと奥羽越列藩同盟を組み戊辰戦争を戦った越後長岡藩が敗戦後、救援米を食べず金に換えて書籍を購入するなどし、焼け野原の城下に学校を設立した逸話「米百俵」に由来します。藩士の子弟に限らず農民の子たちも論語の素読など学んだそうです。
 庄内藩校「致道館」は先んじて、江戸後期から身分の別なく子供たちを学ばせていました。東北では唯一、建物が現存する藩校跡(鶴岡市馬場町、国指定史跡)で、2007(平成19)年に第6回全国藩校サミットを開くとき、それまでの開催地の多くは市長らが主催者トップでしたが、「今も殿様が暮らしておられますから」と酒井家のご当主にお願いしました。維新後も藩主家が住み続ける全国でもまれな旧領地です。
 「天性重視・個性伸長」「自学自習」「会業(かいぎょう=小集団討議)の重視」。致道館の教えは、一人ひとりの生まれつきの個性に応じて、その才能を伸ばすことを基本にしながら、知識を詰め込むのではなく、自ら考え自ら学ぶ意識を高めることを重んじました。
 目指す人材は「国家の御用に立つ人物」「人情に達し時務を知る人物」。「国家」は庄内であり日本でもあり、その役に立ち、情に厚く、時代が求める役割を知り志す人材を育てる、というのです。
 鶴岡市教育委員会は昨年6月、小・中学生用に「親子で楽しむ 庄内論語」という冊子を作りました。「庄内論語」独特の読みや解釈を分かりやすくまとめています。致道館を会場に子供たちの「論語」素読教室も毎年開かれています。
 鶴岡市の兄弟都市・鹿児島市で今年3月に開かれる第11回藩校サミットには、継承活動に取り組む致道館文化振興会議の関係者らが参加、今の時代における藩校の役割を確かめる機会になりそうです。
 昨春に体制を刷新し改革に取り組む東北公益文科大学は酒田市に学部、鶴岡市に大学院があり現在、約650人の学生が学んでいます。01(平成13)年に開学し3年後から定員割れが常態化。公設民営という生い立ちながら私学としての自立を目指しています。
 新田嘉一理事長は「地域を豊かにする人材を育てる大学にする。働く場所をつくり所得を増やし、人口を増やして老後も楽しく過ごせる地域にするために」という改革目標を掲げ、「命懸けで取り組む」と語ります。
 「これだけは誰にも負けないと神様がくれた生きる力を、学生自らが見つけるきっかけを与えられないか。欧米で日本人の評価が低いのは常に妥協するからで中国人に妥協はない。競争するときは絶対に負けないという気概を持つこと。暇を見つけては本を読む。これからは英語や中国語など二つや三つの言葉を話せないと」という教育方針です。
 「世界で一番おいしい豚肉」を目指し、一代で「平田牧場」ブランドを築いた起業家の人づくりは、致道館教育の神髄をついています。
 「やる気があるかないかは眼に出る。中国の子供たちの眼はすごい。見つめられるとこちらが疲れるほどだ」。中国人脈も豊かな新田会長の心眼。今春の卒業生、そして新入生たちに公益大学改革1年目の成果が注目されます。
 「荘内日報」本年も変わらぬご愛顧をお願い申し上げます。

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