2013年(平成25年) 9月5日(木)付紙面より
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鶴岡市本町二丁目にある割烹「三浦屋」の見学会が、来月まで計3日間行われる。大正から太平洋戦争終戦ごろまで栄えた鶴岡の料亭文化を今に伝える貴重な建物で、主催する「地元建築士有志の会 桧倶楽部」(瀬尾修司代表、会員6人)は「一般向けの見学会は今回が初めて。皆さんに知ってもらうことで、財産として残すための第一歩になれば」と期待を込めている。
同倶楽部などによると、七日町(現在の本町二丁目)には江戸時代、旅人を宿泊させる「旅籠屋(はたごや)」が軒を連ね、時代とともに料亭などに変わっていった。ピークは昭和10年代後半とみられ、芸妓(げいぎ)の踊りや三味線の音が響いていた。戦後、料亭は少なくなっていったという。
三浦屋は木造3階建てで、東京で最先端のデザインを学んだ4人の棟梁の競作として、1938(昭和13)年に建築された。楼閣を思わせるような外観が特徴の一つ。20年ほど前から休業しているが、所有者が住み、長唄や三味線の稽古場として使われているという。
建物には、今では入手できないような銘木がふんだんに使われているほか、3階洋室には当時最先端だったアールデコ調の照明を設置。2階の一角には石灯籠や池が設けられ、3階廊下の一部には階下の採光のためにガラスが敷かれるなど、遊び心が見られるという。また、随所に細かな細工が施されており、「説明できないほど。玄関を一歩入った先はまさにテーマパークのようだ」(同倶楽部)としている。
同倶楽部は、三浦屋の調査・保存を通して市民との関わりを持つ活動を続けており、保存への機運を高めたいと見学会を開く。
見学会は今月22日、来月6、13日の3日間で、いずれも午前9時、同10時半、午後2時、同3時半から4回ずつ行われる。各回とも定員は6人。応募多数の場合は抽選し、結果ははがきで通知する。
小学校高学年以上で、自力で階段を上れる人が対象となる。参加費は1人1000円(茶菓代など)。締め切りは今月12日。申し込み、問い合わせは桧倶楽部事務局(秋野建築設計事務所内)=電0235(24)0099=へ。