2015年(平成27年) 9月9日(水)付紙面より
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鶴岡市の大網地区で6日、昔ながらの伝統行事「池やぶし(池破り)」が復活した。水を放流して浅くなった農業用ため池で、大人も子供も泥だらけになって小さなエビを網ですくい、コイやフナなどを捕まえながら世代を超えて交流した。
上村活性化推進委員会(渡部力雄会長)主催。池やぶしはもともと、ため池の水の入れ替えと神様にささげる供え物の魚を捕まえる行事として、同地区の秋まつりに合わせて行われていた。市の補助を受け、大網地区の上村自治会などが一昨年から取り組んでいる地域活性化事業の一環で、これまでグラウンドゴルフ大会や御詠歌教室などを開催している。今回の池やぶしは助成最終年の最後を飾る行事で、実際に行われるのは二十数年ぶりのことという。
この日は上村自治会の住民に加え、地元大網地区の小学生と保護者、鶴岡市役所朝日庁舎や県庄内総合支庁の職員など合わせて約60人が参加。午前9時に上村公民館へ集合し、車に分乗して数分ほど離れた「昭和池」(通称・しろじろ池)へ。ため池は先月中旬から少しずつ水を抜いていたこともあり、深さは子供の腰程度となっていた。
参加者は早速、目の細かい網を手に池の中に入り、水中に網をくぐらせると体長1―3センチほどのシマエビが次々と入った。地元住民によると、シマエビをしょうゆや酒で煮ると真っ赤になり、酒のつまみに最高の味になるという。小学生たちはジャージやジーパンのまま池に入り、「いっぺ捕れだー!」「でっけないだー!」と大騒ぎ。泥だらけになりながら夢中で網を動かしていた。
その後は水をさらに流し、フナやコイを捕まえた。大物のコイはあんかけなどにして神棚にささげた後、お下がりとして食べるのが習わしという。池やぶしの後は公民館に戻り、芋煮や焼き肉などを食べながら交流を深めていた。
渡部会長は「これほど大勢が参加してくれてありがたい。自治会が管理している池は3つあり、毎年場所を変えながら今後は自治会単独で池やぶしを継続していきたい」と話していた。