2016年(平成28年) 8月24日(水)付紙面より
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鶴岡市清水地区に伝わる伝統行事「モリ供養」が22、23の両日、同地区の森山(標高121メートル)で行われた。地区内外の参拝者が生花などの供物を携えて山を登り、祖霊や無縁仏を供養した。
モリ供養は庄内地方独特の送り盆の風習。盆で送られた死者の霊が、里近くにある小高い丘や森に一定期間とどまるという信仰に基づき、山で供養が行われる。同地区の住民から「三森山」と呼ばれる森山のモリ供養は、1100年以上の歴史があるとされ、2000年には国の「記録作成等の措置を講ずべき無形の民俗文化財」に指定された。無縁仏供養の意味もあり、地区の小学生たちが餓鬼の役を務め、参拝者から施しを受ける。同地区のほか、庄内町三ケ沢、酒田市八幡地域などにも「モリ」があるという。
2日目の23日は、森山頂上近くにあるお堂で午前6時から午後3時まで合わせて4回供養が行われた。無縁仏を供養する祭壇「施餓鬼棚」を設けた仲堂と呼ばれるお堂では午前10時、ぬかるんだ山道を登ってきた参拝者5人が参列した。
清水地区や矢馳地区の住職らによってお経が唱えられる中、故人の戒名が読み上げられると地区の若者が「花に水手向けます」「茶湯水あげます」と発し、祭壇の石碑に水やお茶を掛ける作法で供養が進行。地元大泉小の2―6年生合わせて17人も参列し、参拝者と共に焼香し、静かに手を合わせていた。
帰り際には巾着袋を広げた子どもたちが「お願いします」と参拝者を囲み、生米や小銭の布施を受け取っていた。佐藤叶人君(11)=大泉小6年=は「1年生から参加してきて今年で最後。寂しい。おじいちゃんやお父さんがずっと守ってきて、伝えられてきた行事なので、自分は大切にしたい」と話していた。