2017年(平成29年) 3月15日(水)付紙面より
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鶴岡市羽黒町手向の出羽三山神社合祭殿で14日、神事芸能「倭楽(やまとがく)」の奉納上演が行われた。神官や巫女(みこ)が同神社に古くから伝わる舞を優雅に繰り広げた。
同神社には、明治初期に奈良県の春日大社から倭楽が伝えられた。しかし時代とともに簡素化され、50番を超す曲目は御田植え祭り(5月8日)で舞われる巫女舞の「田舞」など一部を残してほとんど舞われることがなくなり、指導者も高齢化が進んだという。こうした状況を受け、倭楽の復興と継承を図ろうと同神社は若手の神官や巫女を中心に舞の稽古を開始。奉納上演は「丑歳御縁年」の2009年から毎年この時期、稽古の総仕上げとして行っている。
今回は神官と巫女合わせて20人余りが舞と琴、笛などの演奏を披露。氏子たちが見守る中、「野も山も」「若宮」「三笠山」「白銀や」など約20番が繰り広げられた。神官は公家の装束とされる衣冠束帯姿で勇壮に、巫女は緋色(ひいろ)のはかま姿に扇や鈴を持って優雅な舞を見せた。修験の山とは違ったみやびの世界に、観衆は引き込まれていた。