2017年(平成29年) 3月16日(木)付紙面より
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就職活動を控えた高校生を対象に地元企業について理解を深める「しごとセミナー」が14日、鶴岡市のマリカ市民ホールで開かれた。地元の6業種の担当者による講話を通して、高校生たちが職業観を育み、地元で働く将来像を探った。
地元就職志向の向上につなげようと、同市から委託を受けた庄内地域産業振興センター(小林貢理事長)が主催し2012年から毎年開催しており、今回で6回目。
今回は市内にある高校7校から合わせて169人が参加。▽福祉▽建設▽宿泊▽縫製▽販売▽製造・生産―の6業種の担当者がそれぞれ講話し、仕事の内容ややりがい、20代の社員の活躍する姿などを紹介した。
このうち、宿泊業については温海温泉旅館組合青年部が担当。「観光業は、他の産業にも幅広く経済効果をもたらす地域にとって大切な産業の一つ」「フロント、調理、予約受け付け、客室担当などさまざまな仕事内容があり、チームワークが重要になってくる」「土日は忙しく、平日休みが多い」「親子3代にわたってお越しになるお客さまも。共に思い出をつくる喜びがある」などと紹介した。
地元就職を希望しているという鶴岡南高山添校2年の秋野美頼さん(17)は「自分が育った地元に貢献したい。建設業は男性の職場というイメージがあったが、女性でも活躍できそうだと思った」と話した。
同センターによると、庄内地域では近年、高校卒業者の7割が進学や就職で地元を離れる。一方で就職希望者の地元志向は高まっているという。地元企業では、建設、看護、縫製などで特に人材確保が課題となっている。
2017年(平成29年) 3月16日(木)付紙面より
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世界一の美食の街で知られるスペイン・バスク地方に、国内で唯一のユネスコ食文化創造都市である鶴岡市から派遣されたいずれも30代の若手料理人3人が13日、榎本政規市長を表敬し帰国報告した。3人は食文化都市を創り上げるため、「経験を料理に生かし、鶴岡に来ればおいしいものが食べられる町にしたい」と話した。
一昨年3月にスペインで開かれた食のイベントに鶴岡市内の料理人2人が招かれたのを縁に、芸術と美食で知られるバスク地方にあるビルバオ市側から交流事業の誘いがあり、世界料理人交流事業として公募を行い、選ばれた3人を派遣した。
派遣されたのは、「庄内ざっこ」の齋藤亮一さん(39)、湯田川温泉「つかさや旅館」の庄司丈彦さん(37)、「ポムドテール」の有坂公寿さん(34)の3人。2月12日から23日の日程で現地に入り、ミシュラン星付き店のホストシェフ3人にそれぞれ迎えられ、体験入店や和食の振る舞い、調理学校で刺し身などの特別授業などを繰り広げた。
この日は市の食文化アドバイザーの太下義之さんと共に3人が市役所を訪問。マグロの刺し身などを振る舞った齋藤さんは「だしに興味を持っていて、だし風味で提供したごま豆腐を喜んでもらえた。家族や集落といった絆が深く、食と密接に関わっていていい町だと感じた」、持参した酒かすで現地の魚を使ってかす汁を提供した庄司さんは「レシピを教えてほしいと言われた。食べることへの意識が高く、『ここに来たら太って帰るのが当たり前』と住民皆が思っている」と報告。
唯一のフランス料理人として参加した有坂さんは「バスクの有名な料理『ピンチョス』(串刺し)にはイスラム文化を取り入れたものもあり、積極的に他の文化を取り入れて土地のものとする創造性を感じた。これから西洋料理の技法を用いて郷土の料理にしていきたい」と抱負を話した。
榎本市長は「ヨーロッパでは料理人はステータスの高い、憧れの職業。それぞれの経験をお店で生かし、市民に披露してもらえれば」と期待。市食文化推進室によると、来月にはスペインからホスト側の星付きのシェフ3人が来鶴する予定という。