2017年(平成29年) 3月16日(木)付紙面より
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世界一の美食の街で知られるスペイン・バスク地方に、国内で唯一のユネスコ食文化創造都市である鶴岡市から派遣されたいずれも30代の若手料理人3人が13日、榎本政規市長を表敬し帰国報告した。3人は食文化都市を創り上げるため、「経験を料理に生かし、鶴岡に来ればおいしいものが食べられる町にしたい」と話した。
一昨年3月にスペインで開かれた食のイベントに鶴岡市内の料理人2人が招かれたのを縁に、芸術と美食で知られるバスク地方にあるビルバオ市側から交流事業の誘いがあり、世界料理人交流事業として公募を行い、選ばれた3人を派遣した。
派遣されたのは、「庄内ざっこ」の齋藤亮一さん(39)、湯田川温泉「つかさや旅館」の庄司丈彦さん(37)、「ポムドテール」の有坂公寿さん(34)の3人。2月12日から23日の日程で現地に入り、ミシュラン星付き店のホストシェフ3人にそれぞれ迎えられ、体験入店や和食の振る舞い、調理学校で刺し身などの特別授業などを繰り広げた。
この日は市の食文化アドバイザーの太下義之さんと共に3人が市役所を訪問。マグロの刺し身などを振る舞った齋藤さんは「だしに興味を持っていて、だし風味で提供したごま豆腐を喜んでもらえた。家族や集落といった絆が深く、食と密接に関わっていていい町だと感じた」、持参した酒かすで現地の魚を使ってかす汁を提供した庄司さんは「レシピを教えてほしいと言われた。食べることへの意識が高く、『ここに来たら太って帰るのが当たり前』と住民皆が思っている」と報告。
唯一のフランス料理人として参加した有坂さんは「バスクの有名な料理『ピンチョス』(串刺し)にはイスラム文化を取り入れたものもあり、積極的に他の文化を取り入れて土地のものとする創造性を感じた。これから西洋料理の技法を用いて郷土の料理にしていきたい」と抱負を話した。
榎本市長は「ヨーロッパでは料理人はステータスの高い、憧れの職業。それぞれの経験をお店で生かし、市民に披露してもらえれば」と期待。市食文化推進室によると、来月にはスペインからホスト側の星付きのシェフ3人が来鶴する予定という。