2017年(平成29年) 3月31日(金)付紙面より
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鶴岡市立加茂水族館(奥泉和也館長)で深海性の「アマガサクラゲ」が展示されている。姉妹水族館のかごしま水族館(鹿児島市)から幼体のポリプを譲り受け、育成と繁殖に取り組んだクラゲで、生態などはほとんど解明されていないため今回が世界初の展示。かごしま水族館と同時に25日から展示を始めた。
アマガサクラゲはミズクラゲ科。水深100メートルより深い深海で見られる。国内では駿河湾や富山湾、五島列島周辺に分布しているが、採取されることはほとんどないという。体は透明に近い白色で、かさの中心から出ている4本の「口腕」がひだ状になっている。強い毒を持っており、成体はかさの直径が20センチほどまで大きくなる。
かごしま水族館が2015年10月に、水槽の展示替え作業中に直径約3ミリのクラゲの幼体を見つけ回収。その後、岩に付着したポリプも発見した。育成したところ見たことのないクラゲだったため、研究者などに問い合わせるとともに、同12月にクラゲ飼育のエキスパートの加茂水族館へポリプを送り、双方で飼育に取り組むことにした。
その後、アマガサクラゲと判明し、かごしま水族館のクラゲコーナーリニューアルに合わせ、両館の同時展示が決まった。
加茂水族館では現在8個体を展示。昨年末生まれたものは、かさの直径が4センチほどまで成長している。同館の飼育員は「他の種類に比べて成長が遅いようだ。クラゲを食べる習性があるので、現在はミズクラゲを餌にしている。生態がはっきり分かっていないため、じっくり大きく育てたい」と話していた。