2017年(平成29年) 4月7日(金)付紙面より
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新たな情報化社会に対応でき、地域創生に貢献できる文理融合型の人材養成に向け、酒田市の東北公益文科大(吉村昇学長)は2017年度、酒田市の寄付を受けて「市産業振興寄付講座」を開設する。公益大の寄付講座は、県の寄付で2015年10月に公益大大学院に開設した「アジアビジネス人材育成講座」に続いて2例目。
新たな技術に対する研究開発を行い、その成果を学生だけでなく広く地域社会に還元していくことで、関連産業の振興を図っていくのが目的。開設にあたり市は、昨年7月に会社設立50周年を記念し東北興産(同市、加藤進社長)が寄せた現金、日情システムソリューションズ(同市)の故佐藤邦彦前会長の遺族、電子部品商社「栄電子」(東京都)の創業者で、首都圏在住の同市出身者らで組織する親睦会「ふれあい酒田」顧問を務める染谷英雄さん(酒田東高卒)による寄付金を充当した。
開設期間は2021年度まで5カ年で、市が毎年600万円を寄付。これまで公益大で実施してきた特別プログラム「情報特別選抜」を改編し本年度、新設した「メディア情報コース」の中の講座で、内容は▽高度な情報教育による地元企業へのIT人材の輩出▽IT技術を活用した産業振興に資する研究開発▽履修証明プログラムの開設による地元企業のIT人材育成―など。セキュリティー分野、VR(仮想現実)技術分野をより強化するため担当教員をこれまでの3人から6人に増員した。
公益大で5日、共同会見を開き、丸山至市長は「IT人材を養成する講座がほしいという市民の声を受けての開設。開講により、酒田の産業振興をけん引する人材を1人でも多く輩出できたら。これからも公益大としっかり組んで街づくりを進めていきたい」、吉村学長は本年度にスタートした「第2期吉村プラン」にも触れ、「市の発展に向け、公益大として協力していきたい」とそれぞれ話した。
神田直弥学部長(人間工学など)、メディア情報コース長を務める廣瀬雄二准教授(インターネットサービスなど)によると、短期間で専門知識を習得できる社会人向けの「履修証明プログラム」は秋学期にスタート、夜間の開講を想定しているほか、セキュリティー分野に関する資格取得サポートも予定している。「IT人材の『地産地消』を図りたい」(神田学部長)という。