2017年(平成29年) 4月29日(土)付紙面より
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昨年10月末で鶴岡市千安京田の「いこいの村庄内」が閉館したため、存続が危ぶまれていた同施設のチューリップ園で今年も花を咲かせている。ゴールデンウイーク中は楽しめる見込み。一方で、元パート従業員、本間竹子さん(72)=同市下川=は「閉館ぎりぎりまで手入れしていたこともあり、今年は何とか7割ほど咲いたが、来年は厳しいと思う」とし、庄内の春の風物詩の行く末を案じている。
いこいの村庄内は、当時の雇用促進事業団が整備し、1977年に開設。県からの業務委託で県観光協会の前身の県観光開発公社が運営。建物は2003年に県に譲渡され、その後は同協会が県から賃貸する形で経営。ピーク時の1995年度には年間2万7500人の宿泊利用があったが、2007年度以降は2万人を下回り、近年は1万5000人台と低迷。今後も業績の好転が見込めないなど総合的に判断し、閉館が決まった。
一方、同施設のチューリップ園は1978年開園。約70アールの広さに約10万個の球根が植えられており、4月下旬から5月上旬の見頃には例年2万人の訪問客でにぎわう。同施設のパート従業員ら約5人が中心となって手入れをしてきた。
閉館後に掃除などの手入れが行われていない今年は、例年の7割ほどが花をつけたが、葉が落ちていたりと、少し寂しさも感じる風景が広がっている。天気のいい日には、楽しみに訪れる人の姿もちらほら。
施設開設当時から職員として働き、定年後もパートでチューリップ園の整備に関わってきた本間さんは、「球根を掘り起こす機械もなく、手作業ではとてもできない。せっかくのチューリップ園がもったいない」とため息。そして、「毎年6月に掘り起こし、大きさを選別して、根っこを掃除して9月に植え直しなど、手間が掛かる。苦労した分、最後になるかもしれない今年は、多くの人に見てもらいたい」と話す。
管理する県商工観光部の観光立県推進課では、チューリップ園の活用方法を検討しているが、現在のところ今後の見通しは立っていない。