2017年(平成29年) 5月27日(土)付紙面より
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庄内空港を活用した県産農産物輸出のテスト輸送が25日、行われた。同日に収穫した庄内産イチゴなどを夕方に保冷コンテナに入れて出発し、羽田、那覇の各空港を経て半日後の翌26日朝には香港国際空港に到着する新規ルート。これまでより早く、新鮮さを保ったまま輸出できるため、比較的軽量で高値販売できる品目を中心に、輸出拡大につながると期待されている。
昨年12月の県とヤマト運輸(本社・東京都)、ANA総合研究所(同)の3者間で締結した連携協定に基づく初の取り組み。これまで全日空(ANA)とヤマト運輸を使って香港に輸出する場合、午後1時ごろまで山形市のヤマト運輸の集積所に運び、そこから仙台まで陸送後、仙台、伊丹両空港を経由し、ANAが国際物流ハブにしている那覇空港を経て香港へというルートが普通で、陸送中の傷みの危険性や、品目・産地によっては到着の前々日に収穫する必要があった。また、使用機材やコストの問題から、庄内空港からの輸出用に保冷コンテナは使われていなかった。
今回の試験は、保冷コンテナを使うとともに、庄内―羽田―那覇というANAでは最短のルートで輸送し、その時間や輸送中の温度、振動、衝撃度、品質、傷み具合などを調べるもの。保冷コンテナは1・5トンまで入る容量で、ドライアイスの冷気を空調で回し、気温6度に保つ設定。輸送中の温度や振動などはセンサーで感知する。品質は、香港でスーパーなど約600店舗を傘下に持つマキシムグループのバイヤーから評価してもらう。
積み込んだ農産物は、24日から25日にかけて収穫した寒河江市産のサクランボ「紅秀峰」、酒田市産のイチゴ「おとめ心」とアスパラガス、山形市産のオカヒジキの4種で、重さは計17・2キロ。午後5時50分庄内発の全日空400便で羽田まで運び、羽田からは全日空の貨物専用機で那覇へ。香港には26日午前6時50分に着く日程だ。
この日は庄内空港で飛行機の出発前に、県の関係者らが報道機関に試験概要を説明、コンテナの積み込みを見守った。県農産物流通販売推進室の地主徹室長は「本県には自慢できる農産物がたくさんある。試験がうまくいき、輸出拡大につながると期待」と話した。
試験結果は9月ごろに開く検討会で精査し、その後の本格的な輸出につなげたい考え。今回のルートで本格的に輸出する農産物の候補としては、保冷コンテナのコストなどを踏まえ、比較的日持ちせず、軽量で高値販売が期待できるサクランボやだだちゃ豆などが有力という。