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荘内日報ニュース


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2017年(平成29年) 6月9日(金)付紙面より

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県内産業けん引 酒田港が果たす役割を再認識

 県内の7つの商工会議所の正副会頭らが7日、酒田市の酒田港を見学し、コンテナ貨物の急増などで岸壁延伸工事が進む高砂埠頭(ふとう)などを船上から目の当たりにし、同港が地域の活性化に果たす役割への認識を新たにした。

 県内の7商議所でつくる県商工会議所連合会(会長・清野伸昭山形商工会議所会頭)が、毎年回り持ちで開いている通常総会に合わせ、当番の酒田商工会議所(弦巻伸会頭)の企画、国土交通省酒田港湾事務所(上原修二所長)の協力で開いた。山形、酒田、鶴岡、米沢、新庄、長井、天童の7商議所の正副会頭や専務、職員ら44人が参加した。

 参加者は10人前後の4班に分かれ、酒田港宮海船だまりから国交省酒田港湾事務所の港湾業務艇「みずほ」に乗船。同事務所の上原所長らの解説を聞きながら、今年8月に同港初の外国クルーズ船が寄港する古湊埠頭をはじめ、花王酒田工場の紙おむつ輸出でコンテナが急増し、岸壁延伸工事が進む高砂埠頭、東北地方で最大規模の木質バイオマス発電所の建設が進む酒田臨海工業団地などを見学した。

 引き続き、北港緑地展望台から酒田港を一望。酒田商議所の弦巻会頭が、臨海工業団地に立地する酒田共同火力発電で県内の電力の約半分をつくっていることに触れ、「酒田港に輸入される石炭が電気になって皆さんに運ばれている」と酒田港の役割をあらためてアピールする場面もあった。

 その後、酒田産業会館で開かれた総会のあいさつで連合会の清野会長(山形パナソニック会長)は「国際貿易港としての機能が拡充し、本県の貿易や産業、経済活動の拠点として発展しつつあると実感。インバウンドなど観光への広がりにも期待したい」と見学の感想を述べた。また、本紙の取材に対し山形商議所の後藤完司副会頭(山形建設社長)は「クルーズ観光やエネルギー産業の集積など、県民の生活や地域の活性化に寄与すると頼もしく感じた。酒田港は今後の県内の産業のけん引役になれる」と期待を語った。

 総会には若松正俊副知事らの来賓や酒田商議所の議員らを含め約70人が参加。消費税軽減税率対応の相談事業の拡充や新規高卒予定者の地元就職の推進、県内経済団体との連携強化などの本年度事業計画を決めた。また、日本海沿岸東北自動車道(日沿道)の整備促進や酒田港の活用促進、庄内空港の運航拡充、羽越新幹線の早期実現などを含む10項目の要望事項が採択された。後日、県知事や県議会、本県選出国会議員などに要望活動を行う。

北港緑地展望台で上原所長(右)から酒田港の話を聞く県内7商議所の関係者
北港緑地展望台で上原所長(右)から酒田港の話を聞く県内7商議所の関係者


2017年(平成29年) 6月9日(金)付紙面より

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鶴岡合宿の成果!!今夏も 「立教」東京六大学野球春季優勝に沸く

 母校の18年ぶり優勝に鶴岡のOBは大興奮―。3年前から鶴岡市で夏合宿を行っている立教大野球部(溝口智成監督)が東京六大学野球の春季リーグ戦で、1999年秋季リーグ以来35季ぶり13度目の優勝を果たした。合宿の誘致に関わった鶴岡の同大野球部OBや大学OBらは「こんなにうれしいことはない」「鶴岡の合宿が成果を挙げた。縁起がいい。今夏の合宿で祝勝会を」と後輩たちの活躍に手放しで喜んでいる。

 立教大は春季リーグで法政大、早稲田大、明治大、東京大からそれぞれ2勝し勝ち点4を上げ、9勝4敗2分けで全日程を終えた。優勝の可能性を残していた慶応大がリーグ戦最終週第2日の5月28日、早大戦で敗れて1勝1敗となり、3回戦に勝って勝ち点4としても立大を勝率で上回れなくなり、この時点で立大の優勝が決まった。

 母校の18年ぶり優勝が懸かった早慶戦のテレビ中継を観戦した鶴岡立教会の石橋政士・前会長(65)は「今季は9回逆転サヨナラや延長でのサヨナラ勝ちもあって、立教らしからぬ粘りの野球を見せてくれた。とにかくうれしい。決定の瞬間に地元のOBらにメールしたら、みんなが知っていた」と話した。今月2日の鶴岡立教会総会でも野球部の優勝が話題になり、校歌を熱唱し盛り上がったという。同会は今年、設立20周年を迎える。石橋さんは「われわれの会の記念の年に合わせたかの優勝。秋の鶴岡の東京六大学の集いは、鼻高々でみんな出席できる」と喜んだ。

 立大野球部OBで投手としてリーグ戦で1勝を挙げた経験を持つ鶴岡アートフォーラム館長の五十嵐満さん(60)は「鶴岡の夏合宿の成果を生かして、ぜひ優勝をと願っていたが、本当に実現した」、溝口監督の2年先輩で投手を務めていた鶴岡市議の菅原一浩さん(51)も「最近はあと1勝で優勝という惜しいところまできていた。夏の合宿でしっかりと戦力アップできたのでは。粘りの全員野球でよくやった」と監督を含めた後輩たちの活躍をたたえた。

 鶴岡の夏合宿では毎年、南東北大学リーグに所属する東北公益文科大野球部とオープン戦を行っている。立大の溝口監督と社会人野球の同じチームで活躍した公益大の横田謙人監督(47)は「大学選手権で一緒に戦おうと溝口監督と話してきた。先を越されてしまった」と笑いながら、「久しぶりの優勝に、おめでとうと言いたい。六大学のチームと対戦する機会はめったになく、立教の鶴岡合宿はいい機会。また夏に対戦するのを楽しみにしている」と話した。

 立大野球部は今夏も7月下旬から8月上旬まで、鶴岡ドリームスタジアムで夏合宿を予定している。

2015年から夏合宿で鶴岡を訪れている立大野球部。今春の東京六大学野球で18年ぶりに優勝し、鶴岡のOBたちが沸き返っている=昨年8月1日、鶴岡ドリームスタジアム
2015年から夏合宿で鶴岡を訪れている立大野球部。今春の東京六大学野球で18年ぶりに優勝し、鶴岡のOBたちが沸き返っている=昨年8月1日、鶴岡ドリームスタジアム


2017年(平成29年) 6月9日(金)付紙面より

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森の時間113 ―山形大学農学部からみなさんへ―

ギルガメッシュの歴史に学ぶ 小山 浩正

 思春期の頃、深夜に『11PM』という大人の番組が放映されていました。大学に入った頃、今度は『ギルガメッシュ・ナイト』という、もっと過激な番組が始まりました。そんなわけで(どんなわけだ?)、私の世代にとって『ギルガメッシュ』という言葉は、ややピンクな印象がつきまとうのです。

 しかし、オリジナルの『ギルガメッシュ叙事詩』はもっと深淵、かつ、ある意味でもっと邪悪な物語です。この伝説はメソポタミアのシュメール文明が残した粘土板に刻まれました。ウルクの王ギルガメッシュはこれまでにない大都市を建設しようと心に決めます。ただ、それにはレバノン杉の森を伐り倒さねばなりません。ところが、その森は昔から禁断の地であり、フンババという恐ろしいモンスターが棲んでいるのです。ギルガメッシュが森に分け入ると、案の定、フンババが地も割れんばかりの怒濤(どとう)で襲ってきました。すさまじい格闘の末にこの化け物を倒したギルガメッシュはついに森を手に入れます。この物語は野蛮を退け文明をもたらした英雄を称える神話とされますが、逆に言えば人類最初の森林破壊とも言えるのです。以降、人間は自らの欲望のため森を伐り続けのですから。

 ギルガメッシュが実在したかどうかはわかりません。フンババなどという怪物がいたとは到底思えないからです。しかし、ここに興味深い一致があります。花粉分析という手法が明らかにした歴史をみてみましょう。植物花粉のほとんどは本来の目的を果たすことなくむだ撃ちに終わるのですが、そうした花粉がたまたま湖沼など酸素に触れない場所に落下すると、何万年ものオーダーで原形を保ったまま堆積します。こうした地層を取り出し解析することで、過去にそこで栄えた植生の変遷を復元するのが花粉分析です。

 メソポタミアにおいて都市国家が建設されたのは約5000年前ですが、花粉分析によると、ちょうどこの時期に周辺のレバノン杉の森が激減したことが明らかにされました。つまり、ギルガメッシュの伝説はある程度の史実を反映していたのです。その後のメソポタミアは、この森を消費尽くして自給できなくなり、ペロポネソス半島からの輸入を始めます。しかし、それも叶わなくなるとリサイクルの時代に入ります。取り壊した家屋や船の資材は極力再利用するようにキャンペーンが張られました。一方、耕作地では、森を失ったゆえに土砂の流入や塩害が頻発し、それが原因で小麦の生産は減少し、経済に陰が射し始めます。これを嘆く役人の苦悩も粘土板に刻まれました。

 こうしてメソポタミアは文明の主座をギリシャに譲り、歴史の表舞台から退場するのです。自給率低下、リサイクル運動、環境と農業問題、そして経済破綻…。どこかでよく聞く話です。今一度、粘土板から真摯(しんし)に学ぶ必要があるようです。「温故知新」をしてみると、周りの森が改めて尊く見えてこないでしょうか。

(元山形大学農学部教授 専門はブナ林をはじめとする生態学。筆者は昨年3月に急逝されました。原稿は生前に寄稿していただいていたものです)

鳥海山・鶴間池付近のブナの原生林=自然写真家・斎藤政広(2007年6月2日撮影)
鳥海山・鶴間池付近のブナの原生林=自然写真家・斎藤政広(2007年6月2日撮影)



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