2017年(平成29年) 8月31日(木)付紙面より
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鶴岡市内で映画作品のロケを行う塚本晋也監督(57)が30日、同市役所を訪れ、自身初の時代劇作品となる新作について榎本政規市長と懇談した。ロケは同市のスタジオセディック庄内オープンセットを中心に31日から9月下旬にかけて行い、全編が鶴岡ロケの作品になるという。来秋の公開を予定している。
塚本監督は東京都出身。1989年に「鉄男」(ローマ国際ファンタスティック映画祭グランプリ)で劇場映画デビュー。数々の作品で国内外の映画賞を受賞しており、主演や脚本なども務めた2015年公開の「野火」では、第70回毎日映画コンクールの監督賞や男優主演賞を受賞するなど話題となった。昨年は俳優として、遠藤周作の小説をマーティン・スコセッシが映画化した「沈黙―サイレンス」にも出演している。
新作の時代劇は、幕末の江戸近郊の農村が舞台。世の中が大きな転換期を迎える中で、一本の刀と若者、周囲の人々との関わりを通して、なぜ戦が絶えないのか、なぜ人を斬らなければならないのかを深く見つめ、紛争の絶えない現代世界にこれを問う作品という。
「昔ながらの風景」を求め2カ月ほど前、同オープンセットを運営するM&NCOの丸山典由喜社長の紹介で鶴岡を訪れ、下見を行いロケ地に選んだ。塚本監督は「今の時代のことを考え、この時期に作らなければならないと考えた。オープンセットの農村エリアは建物に加えて、昔ながらの田んぼもあり、ここでなら撮れる。全編を鶴岡で撮影する」と話し、オープンセットのほか羽黒山や金峰山などでロケを行う。金峰山は映画のラストシーンの撮影を予定している。塚本監督が脚本を書き、出演もする。
映画のタイトルは未定で、キャストは未公表。「一本の刀を見つめて過剰な感情を抱く若者の物語を撮りたい」と意欲を語った。