2017年(平成29年) 10月1日(日)付紙面より
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鶴岡市の新文化会館「荘銀タクト鶴岡」の竣工(しゅんこう)記念式典が30日、同会館で行われ、関係者が出席して鶴岡の新たな芸術文化の拠点施設の完成を祝った。
式典には県や市、設計・施工、学校、芸術文化団体などの関係者約250人が出席。榎本政規市長が「市民各層の力を結集し、未来へつなぐ芸術文化の拠点が完成した。来年3月のグランドオープン後の1年間をープニングイヤーとし多彩なジャンルの自主公演を行うほか、市民みんなの荘銀タクト鶴岡として利用してもらい、大きく育てていきたい」と式辞を述べ、舞台上で設計者代表の妹島和世さん、施工者代表の竹中統一竹中工務店会長、命名権者の上野雅史荘内銀行頭取らと共にテープカット。吉村美栄子知事(代理)らが来賓の祝辞を述べた。
施設に対する寄付者の国際ソロプチミスト鶴岡など4団体に感謝状を贈呈し、日本画家、千住博さんの作品「水神」をデザインしたホールの顔となる本緞帳(どんちょう)を披露。国指定重要無形民俗文化財「黒川能」の上座が能「淡路」の祝舞を披露した。
新会館は敷地面積約1万3100平方メートル、地下1階地上3階、鉄骨造り・鉄筋コンクリート造りで、延べ床面積は旧会館の3倍の約7850平方メートル。1120席の大ホール、小ホール、練習室、楽屋、会議室、エントランスホールなどがある。総工費は当初契約額から増額され96億7600万円。大ホールは「生音の響き」を重視し、コンサートや演劇、式典、講演会などさまざまな催しに対応する多目的ホールとして整備した。
今後、備品搬入を進めるとともに、音響や照明、装置など舞台設備の操作訓練を兼ねたプレ事業、市民による試験利用などを経て、来年3月18日にこけら落としとなるNHK交響楽団の公演を開催。開館記念事業ではほかに、5月の劇団四季公演、7月の松竹大歌舞伎公演、8月の海上自衛隊東京音楽隊公演が決定。4月からは一般への貸館が始まる。
2017年(平成29年) 10月1日(日)付紙面より
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徳川四天王筆頭と称された酒井家初代・酒井忠次をはじめ歴代当主4人を祭る鶴岡市の荘内神社(石原純一宮司)に、忠次の兜(かぶと)・面具の複製品が28日、奉納された。同市の致道博物館で所蔵する実物の具足(県指定有形文化財)を基に甲冑(かっちゅう)師・熱田伸道さん(69)=名古屋市=が同神社鎮座140年を記念して制作、奉納したもの。10月から同神社の宝物殿で一般公開する予定。
熱田さんは、甲冑研究で10年ほど前に初めて来鶴して以来、酒井家2代・家次の甲冑修復をはじめ、同市丸岡・天澤寺で発掘された加藤清正の甲冑復元などを手掛けてきた。2012年に発足した荘内藩甲冑研究会では特別顧問を務めるなど、庄内の甲冑文化継承に貢献している。
今回熱田さんが制作した兜は、朱漆塗様の外見に黒糸威(くろいとおどし)脇立てには金箔(きんぱく)鹿角を施した「12間筋兜」。実物に見られる安土桃山時代の特徴とされる実戦的な兜のつば「眉庇(まびさし)」の形状や、面具の鷲鼻なども忠実に再現した。実物大で、鉄板を主素材に、粉を混ぜたパテで盛り上げを施して下地とし、植物由来の天然塗料で10回以上塗り重ねた。天正5年ごろの制作手法にこだわりながらも、耐久性や機能性も考慮し、現代の技術も取り入れた現代版兜・面具」(熱田さん)。制作には約1年をかけたという。
28日に行われた奉納式では熱田さんをはじめ同研究会、同神社総代から合わせて10人が出席。玉串奉てんなど各神事を行った後、除幕。お披露目された兜・具足を前に熱田さんが制作過程や特徴を解説し「兜頭頂部の神宿りの彫金など楽しみながら制作することができた。これからどう活用するかは任せたい」と話した。
同甲冑研究会長でもある石原宮司は「荘内神社では酒井家初代、2代、3代、9代のご祭神ゆかりの品はあるが、本人所有の鎧兜はこれまでなかった。鎮座140年の節目に素晴らしい兜・面具を制作、奉納していただき感謝」と話した。