文字サイズ変更



  • プリント用表示
  • 通常画面表示

荘内日報ニュース


日付の新しい記事へページを移動する日付の古い記事へ
  • ニューストップ
  • 最新記事
  • 戻る

2017年(平成29年) 10月18日(水)付紙面より

ツイート

合唱や合奏披露に大きな拍手

 鶴岡市小学校音楽交流会が17日、鶴岡市文化会館「荘銀タクト鶴岡」で始まった。19日までの3日間、鶴岡市内の小学5年生を中心とした児童たちが合唱や合奏を披露する。

 音楽交流会は各小学校の交流と音楽のまち鶴岡の素地と愛郷心を養うことを狙いに市小学校校長会の主催で開催。昨年までは旧市内の小学校を対象に行っていたが、同館開館を機に市内全小学校に拡大。本年度で閉校する栄小を除く28校と鶴岡養護学校が参加する。

 初日の17日は10校が出演。合同唱歌「ビリーブ」の合唱で幕開けし、各校が「すてきな自分と出会う道」「ゆうき」「遥か」などの合唱や合奏、金管合奏などこれまでの練習の成果を披露した。また、櫛引東小学校は黒川能「高砂」を披露するなど学校の個性が光る演目も。

 会場には児童の保護者や家族らが大勢詰め掛け、演奏が披露されるたびに大きな拍手を送っていた。

鶴岡市内の小学生が合唱や合奏を披露した
鶴岡市内の小学生が合唱や合奏を披露した


2017年(平成29年) 10月18日(水)付紙面より

ツイート

情報発信機能の充実向け 活性化プロジェクト公益大生推進

 道の駅鳥海ふらっと(遊佐町菅里)の活性化を図るプロジェクトが、東北公益文科大(酒田市、吉村昇学長)の学生たちによって進められている。学生29人は来年1月まで計15回にわたって現地調査などを展開し、特にふらっとが担う各種情報発信機能の強化に向けた提案を行う。2回目の講義となった13日は、ふらっとを運営する同町の第三セクター「遊佐町総合交流促進施設」の高橋誠一常務が施設概要などを講話した。

 国土交通省は現在、地域の観光資源や魅力が集まっている「道の駅」を、観光振興や地域づくりを学ぶ学生の課外活動や就労体験の場として活用することを進めている。

 今回の活動は、道の駅を通じて学生から地域をより知ってもらおうと、公益大が「地(知)の拠点整備事業」の一環として競争型課題解決演習「道の駅・公益活性化プロジェクト」と銘打ち、ふらっと、同省酒田河川国道事務所(赤城尚宏所長)とともに企画。2年生を中心に男女29人が受講し今月6日に開講、同日は指導する山口泰史公益大特任講師がプロジェクトの概要を説明した。

 13日は高橋常務が公益大を訪問し講話。施設概要を解説した上で道の駅平泉(岩手県平泉町)など他の道の駅の事例を紹介、「スペースが限られているため、イベントや催事ができないのが課題で、ふらっとを『行くのが目的』の道の駅にするのは難しい。丸池・牛渡川、十六羅漢岩、鳥海山といった近くの観光地、宿泊・温泉施設を結ぶルートマップを若い視点で製作してもらいたい」と語った。

 そして、ふらっとが担っている▽観光地の情報▽移動に関する情報▽現地ならではの情報▽防災などに関する情報―の発信機能充実に向けた提案の作成を学生たちに依頼した。

 次回は、酒田河川国道事務所職員による講話を聴講する。その後、5、6人ずつ5班に分かれて現地調査、意見交換、グループワークなどを行い、来年1月26日(金)に開催予定の報告会(場所未定)でそれぞれの班が活性化策を提案する。

高橋常務(右)の話に聞き入る学生たち
高橋常務(右)の話に聞き入る学生たち


2017年(平成29年) 10月18日(水)付紙面より

ツイート

森の時間117 ―山形大学農学部からみなさんへ―

森の正直さ ―知床の30年から見えてきたこと― 菊池 俊一

 9月は知床の森にいました。ヒグマへの警戒を怠らないよう注意しつつ、斜里町ウトロの国有林に学生とともに入りました。車を駐めたところから40分間歩いて現場に到着。太いミズナラやイタヤカエデ、トドマツが混じる針広混交林が広がり、その林床(森林の地表面)には苔むした切り株や朽ちた残材が点在していました。そう、ここが知床騒動の現場です。

 今から30年ほど前に日本国中を騒がせた「知床国有林伐採問題」を憶えていらっしゃる方は多いでしょう。2005年7月に知床が世界自然遺産に登録される前の、国民の衆目を集めた大騒動。多くの人が抱く知床のイメージは「原生的自然」。その知床の国有林において適度の伐採により森林の若返りを図ろうとする林野庁と、知床は残された数少ない原生「的」森林として重要であるため人の手を入れずに保護すべきであるとする自然保護派の対立にマスコミが加勢したという構図でした。北海道の東端の知床を舞台に森林施業と森林生態系の保全、国立公園における自然保護、林野行政のあり方等々、日本の森の取り扱いをめぐる重要な論争が展開されました。

 当時、大学で林学を学び始めた私はそんな論争に興味津々でした。それは同窓生もみな同じ。新聞記事や雑誌記事、各種資料を片手に多くの学生・院生が夜な夜な一部屋に集まり、熱い議論を始めました。一つ先輩だった故小山浩正氏もその一員でした。論点が多岐に渡ることから、真に学際的なディスカッションが繰り広げられていた覚えがあります。

 そして迎えた1987年4月、知床国有林で伐採が行われました。3日間で530本(北見営林支局の発表)の樹木が択伐され、その一本一本がヘリコプターで吊り下げられて集材・搬出されました。伐採実施を知った学生・院生からは「択伐された知床の森は、今後どのように推移するのか」、「その森を実際に見ずして議論を深めることができるのか」といった声がにわかに高まり、有志による伐採地調査の実施が程なく決まりました。

 初回の調査は伐採4カ月後の1987年8月に行いました。現地に方形の固定調査地を3カ所設け、そこに生育するすべての樹木の種やサイズを調査しました。その後、5年ごとに同様の調査を繰り返し行ってきました。30年目となる今年は当研究室学生と北海道大学農学部森林資源生物学研究室、北大森林科学科3年生、北大林学OBの総勢40名の参加で7回目の調査をつい先日行いました。ヒグマに遭わずに生還でき、ホッとしているところです。

 人の手を加えた知床の森はこの30年間でどのように移り変わってきたのでしょうか。詳細はデータ解析後に改めてどこかの機会で報告したいと思いますが、通い続けることで垣間見えてきた「知床の森の30年間」をここで少しだけ紹介します。

 1987年4月の伐採は、約187ヘクタールの針広混交林からミズナラ、イチイ等の高齢で大径の樹木530本が抜き伐りされたので、林冠(森林において太陽光線を直接に受ける高木の枝葉が茂る部分。いわば森林の屋根)にはそれら伐木のギャップ(隙間)ができました。30年が経ち、この隙間を埋め尽くしたのは、主に伐られた種であるミズナラ等の広葉樹ではなく、針葉樹のトドマツ若齢木でした。林床には広葉樹の芽生えもありますが、短いサイクルで消失と発生を繰り返しているようで、順調に成長する稚樹は見られません。1990年代初めから急激に増加したエゾシカによる食害が強い影響を与えていそうです。結果として伐採を行った森林は、若いトドマツの優占度が以前より高い姿に移り変わってきたようです。これが事前に想定した30年後の森の姿だったのか。これから少し考えてみます。

 以上のように、知床の森を30年間観察し続けることで、人が手を加えたことへの応答が森の姿の変化として現れることがわかりました。森から意図せぬ応答が帰ってこないよう、事前の熟慮と事後のモニタリング・アフターケアは重要で必須であることを改めて認識しました。

 森は正直です。

(山形大学農学部准教授 専門は森林環境保全学、森林動態学)

知床国有林択伐跡地における調査の様子。調査区に生える樹木の高さや太さ、枝張りを一本一本計る(2017年9月16日、菊池俊一撮影)
知床国有林択伐跡地における調査の様子。調査区に生える樹木の高さや太さ、枝張りを一本一本計る(2017年9月16日、菊池俊一撮影)



日付の新しい記事へページを移動する日付の古い記事へ

記事の検索

■ 発行月による検索
年  月 

※年・月を指定し移動ボタンをクリックしてください。
※2005年4月分より検索可能です。

 
■ キーワードによる検索
   

※お探しのキーワードを入力し「検索」ボタンをクリックしてください。
※複数のキーワードを指定する場合は半角スペースを空けてください。

  • ニューストップ
  • 最新記事
  • 戻る
ページの先頭へ

Loading news. please wait...

株式会社 荘内日報社   本社:〒997-0035 山形県鶴岡市馬場町8-29  (私書箱専用〒997-8691) TEL 0235-22-1480
System construction by S-Field