2017年(平成29年) 11月8日(水)付紙面より
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廃車のシートベルトを海藻に見立て、魚介類の“楽園”となる「人工藻場」を製作し今年6月、酒田北港の通称・水路に設置したNPO法人「みなと研究会」(酒田市、守屋元志代表理事)は6日、この藻場を引き揚げた。シートベルトにはカキなどの貝類が数多く付着しており、守屋代表理事は「周囲では多くの魚介類が見られた。今回の設置が海洋生物の増殖につながってほしい」と話している。
長年にわたって海洋生物の観察・保全活動に取り組んでいる同法人が、日本郵便「年賀寄付金配分事業」の助成を受け、山形県自動車販売店リサイクルセンター(山形市、遠藤榮次郎社長)と共に取り組んだリサイクル事業。同センターから譲り受けたシートベルト200本を1・5メートルの長さに切りそろえ、ブイを付けた10メートルのひも2本に縫い付けた「人工藻場」を今年6月30日に設置、これまで月に2回のペースで潜水調査を実施するなど観察活動を繰り広げてきた。
この日の引き揚げ作業には会員4人が参加。ユニック車を使って岸に揚げたところ、シートベルト部分にはカキ、ニシガイなどが付着していた。同法人によるこれまでの調査でアジ、クロコ、ボラといった小魚が周囲を泳ぐ姿も確認されており、守屋代表理事は「水路内には海藻類がほとんどない。人工的に藻場を設置したことで小魚も集まり、魚介類の“楽園”になったようだ」と話した。
守屋代表理事によると、「人工藻場」は引き続きハタハタの産卵床として使用する予定で、ブイなどに付いたフジツボを取り除いた後、今月下旬にも再び水路内に設置することにしている。