2017年(平成29年) 12月26日(火)付紙面より
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死傷者38人を出した庄内町榎木のJR羽越本線特急「いなほ14号」脱線・転覆事故は、25日で発生から丸12年を迎えた。あの日同様、暴風が吹き荒れる中、事故現場に立つ慰霊碑前で同日午前、追悼慰霊式が行われ、参列者が犠牲者の冥福を祈るとともに、再発防止を誓った。
2005年12月25日午後7時14分に発生した同事故では乗客5人が死亡、乗員・乗客33人が重軽傷を負った。国土交通省航空鉄道事故調査委員会(当時、現・運輸安全委員会)は08年、「局所的な突風が原因」とする最終報告書を公表した。
「局所的な突風」探知に向けて、気象庁気象研究所と共に研究・開発を進めてきたドップラーレーダーを使った列車運転規制システムの実用化のめどが立ったとし、同社は19日から運用を開始。同社広報によると、25日早朝に初めて突風の発生を予測、▽北余目―酒田間▽酒田駅構内▽酒田―象潟間―の3区間で午前4時34分から最大11分の運行規制措置を取ったが、いずれも始発運行前のため列車への影響はなかったという。
この日は午前8時45分から同社の冨田哲郎社長、清野智会長ら役員が碑前まで歩を進めて献花。同10時から慰霊棟内で行われた慰霊式では、全員で黙とうをささげた後、冨田社長が亡くなった5人の名前を挙げた上で、「『事故を無駄にしないでほしい』という遺族や負傷者からの強い思いを肝に銘じ、これからも事故を風化させることなく、グループ一体となり安全性向上への取り組みを進め、究極の安全に向けて全力を注いでいく」と「安全への誓い」を述べた。その後、参列者全員が献花、犠牲者の冥福を祈るとともに、再発防止を誓った。
終了後、会見した冨田社長は、ドップラーレーダーの運用開始について「まだまだ改善の余地がある。日本海で起こる突風を事前に検知できるよう、さらに精緻なものにレベルアップしたい」、遺族・負傷した乗客との示談が成立したことについては「区切りはついたが、これからも誠心誠意対応していかなければいけない」と述べた。
2017年(平成29年) 12月26日(火)付紙面より
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龍神を祭り、全国の漁業関係者の信仰を集める鶴岡市下川の龍澤山善寳寺(五十嵐卓三住職)で25日、年末恒例の「すす払い」が行われた。僧侶らが長いササぼうきで本堂にたまったほこりを払い落とし、初詣客を迎える準備を整えた。
頭に手拭いを巻き、マスクを着けた僧侶や修行僧など合わせて約20人が午前8時すぎから作業開始。本堂内のさい銭箱や仏具に新聞紙をかぶせた後、約5メートルのササぼうきを手に取り掛かった。天井付近にある梁(はり)や照明、天蓋幢幡(てんがいどうばん)などの装飾に、ササの葉をはわせるようにしてほこりを払った。
百瀬良鷲さん(48)は「一年間ご参拝いただいた皆さまに感謝の念と、また混雑の中初詣大祈祷(きとう)にお参りくださる方々のために思いを込めた。特に今年は全国的な不漁。こういう時だからこそと、多くの漁業者の方々から足を運んでいただいた。さらに精進していきたい」と話していた。
同寺では正月三が日、参拝客への甘酒振る舞いを初実施。初詣客は7万人を見込んでいる。