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荘内日報ニュース


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2017年(平成29年) 9月16日(土)付紙面より

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「庄内の旅」体験 米国旅行エージェントと意見交換会

 空路による米国―羽田―庄内乗り継ぎ旅行商品造成に向けて庄内に滞在していた米国旅行エージェントと地元関係者との意見交換会が14日夜、鶴岡市湯野浜の「亀や」で行われた。米国からの参加者からは「少人数でも英語対応可能なガイドやタクシーなどが必要」「庄内の食を切り口にするなら収穫体験や簡単かつおいしいクッキングスクールは満足度が高い」などの意見が出された。

 庄内へのインバウンド拡大を図るため、県庄内総合支庁が東北観光復興対策交付金を活用し、台湾、欧米の旅行エージェントを招いたのに続き招聘(しょうへい)。羽田空港から乗り継ぎ便で庄内空港を利用する北米からの旅行商品の造成が目的で、全日本空輸(ANA)の米国現地法人やロサンゼルスにある日本行きのツアーを企画する旅行会社の旅行商品造成担当者の男女3人が参加した。

 「ゆったり食す庄内の旅」をテーマに、11日から4泊5日の日程で成田空港経由で庄内に入り、善寳寺 での座禅体験や白装束を着ての羽黒山登山、農家レストランでの野菜の収穫やクッキングスクール、刈屋梨の収穫体験、相馬樓で舞娘(まいこ)の演舞観賞などを体験した。

 この日は滞在最終日を前に県庄内総合支庁や鶴岡、酒田両市の担当者ら約10人も参加して意見交換会。米国の参加者から率直な感想として「白装束に抵抗があったが普通に登るだけでない達成感があって、精進料理もおいしく感じられた」「梨が特別おいしかったので印象的」「繭クラフトは簡単で素材に物語があって楽しかった」などと評価。

 実際の受け入れの課題として「庄内はポテンシャルが高いのでお客さんを紹介したいが、少人数で来ても外国人が簡単に移動できるかや英語対応が可能かが非常に大切」「米国人はベッドを希望する。朝食もウエスタンスタイルを求めるのでスクランブルエッグの硬さやベーコンの焼き具合など細かい好みも把握してほしい」「冬に何が体験できるのかも知りたい」といった意見が出された。

米国から訪れた旅行エージェントが庄内の旅について地元関係者と意見交換
米国から訪れた旅行エージェントが庄内の旅について地元関係者と意見交換

庄内の食文化や歴史を体験=相馬樓で舞娘の演舞観賞
庄内の食文化や歴史を体験=相馬樓で舞娘の演舞観賞


2017年(平成29年) 9月16日(土)付紙面より

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ようこそ鹿児島・大龍小 踊りやクイズ楽しみ交流

 鶴岡市立朝暘第二小学校(齋藤圭一校長、児童366人)の姉妹校・鹿児島市立大龍小学校(須田木優二校長、児童385人)の交流使節団が14日から2泊3日の日程で鶴岡市を訪れている。15日は朝二小で歓迎会が開かれ、両校の児童や学校関係者が交流を深めた。

 両校は、明治維新を契機にした庄内藩の菅実秀と薩摩藩の西郷隆盛(南洲)との徳の交わりを縁に1968(昭和43)年9月、姉妹校の盟約を結び、交流を続けている。両市は69年11月に兄弟都市盟約を締結した。

 今回来鶴したのは須田木校長を団長に6年生男女6人、山下忍PTA会長、交流組織「大龍朝二会」のメンバーら計12人。朝二小体育館で全校児童が参加し15日に行われた歓迎会では、大龍小の校歌を全員で合唱し、児童会運営委員長の6年の進藤悠大郎君が「皆さんに会えるのを楽しみにしていた」と歓迎のあいさつ。齋藤朝二小校長が「半世紀近い交流を振り返り、今後につないでいくことを確かめ合おう」、須田木大龍小校長が「全員合唱の校歌を聴き、温かい歓迎に感激した。出会いを大切にして末永く交流を続けていこう」と述べた。

 両校の児童による記念品交換、朝二小4年生の「ロックンおはら節」と大龍小6人の「西郷どん」の踊りの披露、両市や西郷にちなんだクイズのレクリエーションもあり、笑顔で絆を深めた。

 大龍小の一行は14日、酒田市の南洲神社、鶴岡市の菅実秀生家、加茂水族館を訪れ、15日は朝二小で交流授業や榎本政規市長への表敬訪問、歓迎懇親会。16日に国宝羽黒山五重塔や出羽三山神社を見学し、帰途に就く。

朝二小の児童たちがつくるアーチに迎えられ、歓迎会に臨んだ大龍小の児童たち=15日、朝二小
朝二小の児童たちがつくるアーチに迎えられ、歓迎会に臨んだ大龍小の児童たち=15日、朝二小


2017年(平成29年) 9月16日(土)付紙面より

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森の時間116 ―山形大学農学部からみなさんへ―

ザンクト・ペーター ―森の中のビオエネルギー村― 平   智

 「エネルギーヴェンデ(Energiewende)」ということばをご存じでしょうか。「エネルギーの革命的大転換、維新」という意味のドイツ語です。日本では「エネルギーシフト」ということの方が多いようです。エネルギー源を既存の化石や原子力から、太陽光、風力、水力、バイオマスなどの再生可能エネルギーへ転換することをいいます。

 石油などの化石資源によるエネルギー生産は温室効果ガスを放出するので、地球の温暖化を促進させます。また、原子力は、チェルノブイリや福島の事故でその安全性が問われ、かつ放射性廃棄物処理の困難性が問題になっています。さらに、化石資源やウランは有限で、将来的には枯渇することが確実視されています。

 エネルギーヴェンデは、このような化石資源や原子力に頼らない再生可能なエネルギーの生産と供給を行うしくみの構築を目指すものです。そのメリットは、たんにエネルギーの地域内自給に留まりません。これまで多額のお金を出して、遠くから(多くは大手の電力会社から)エネルギーを買っていましたが、そのお金が地域内で循環するようになります。地域の中で回るお金が増えると、結果的にそこに雇用が生まれます。そうです。エネルギーヴェンデは、うまく定着すれば雇用促進、ひいては地域活性化にもつながるのです。

 地域住民の主導で実現したエネルギーヴェンデをテーマにした『シェーナウの想い』という有名なドキュメンタリー映画があります。映画の舞台であるシェーナウは、シュヴァルツヴァルト(黒い森)の西の玄関口であるフライブルクから約24キロ南南東、森の中にある人口2300人ほどの村です。シェーナウの成功を契機に、ドイツのあちこちでエネルギーヴェンデの動きが盛んになってきています。

 ザンクト・ペーター村は、フライブルクから東へ15キロほど、やはりシュヴァルツヴァルトの中にある人口2000人あまりののどかな修道院村です。ここでも村民が市民エネルギー組合をつくってエネルギーヴェンデを進め、2010年にはバーデン・ヴュルテンベルク州で16番目の「ビオエネルギー村」(ビオはエコという意味のドイツ語)に認定されました。

 ビオエネルギー村の定義は、1村内の電力需要を100%以上カバーしていること、2村内の熱需要の50%以上について、再生可能エネルギーを使用し、かつ可能な限りコジェネレーションを実現していること、3設備の50%以上が消費者あるいは農家の所有であること、となっています。「コジェネレーション」(略してコジェネ)は、「熱電併給」と訳され、発電機関から電気といっしょに熱も取り出して、温水や蒸気、動力に変え、給湯や冷暖房に使用するしくみのことをいいます。

 ザンクト・ペーター村では、太陽光、水力、風力、バイオマスを組み合わせて、これらの条件をすべてクリアし、電力は需要量の約3倍を生産、熱も需要量の約8割を自給しています。コジェネは、おもに地域産の木材から調整された木質ペレットを原料にしています。その結果、この村だけで年間に約2万トンの二酸化炭素の排出や約100万リットルの石油燃料の削減を実現しているということです。

 暖房は、村の公民館の隣に建てられたバイオマスセンターから、全長約12キロに及ぶ熱配管網を通して各家庭に温水を供給する地域暖房システムによっています。この配管網に接続するだけで快適な屋内暖房ができるので、家ごとにボイラーやストーブを設置する必要がなく、かえって経済的であるということです。

 その地域由来の、風力や水力、太陽光などの自然エネルギーと、森から産出される木質バイオマスを使って得られる電力に照らせれ、熱に温められる生活。日本では、いつ、どこで実現するでしょうか。森林文化都市・鶴岡でもぜひ挑戦してほしいものです。

(山形大学農学部教授、専門は園芸学および人間・植物関係学)

ザンクト・ペーター村のシンボルでもある教会(修道院)。年に数回、クラシックコンサートなども開催されます
ザンクト・ペーター村のシンボルでもある教会(修道院)。年に数回、クラシックコンサートなども開催されます

村の公民館の隣に建てられたバイオマスセンター(左側の建物)。木材チップとペレットの燃焼・発電(コジェネ)装置が設置されています(いずれも2016年12月1日筆者撮影)
村の公民館の隣に建てられたバイオマスセンター(左側の建物)。木材チップとペレットの燃焼・発電(コジェネ)装置が設置されています(いずれも2016年12月1日筆者撮影)



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