2018年(平成30年) 2月7日(水)付紙面より
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鶴岡市と「ガストロノミー包括連携協定」を結ぶ辻調理師専門学校(大阪、辻芳樹校長)の「鶴岡フィールドスタディ」が5日まで2泊3日の日程で、鶴岡市の羽黒、温海地域を中心に行われ、学生たちが塩蔵の保存食や魚、塩、キノコなどの生産現場を見学。最終日の体験発表では「食材の命を頂くということを学んだ」「土地に足を運んで食べた方がおいしいと知った」など作るだけでない料理の奥にある世界に学びを深めた。
同市が国内唯一のユネスコ食文化創造都市であることを縁に昨年、地域の食文化を支える人材育成と、持続可能な食文化産業の推進のための同協定を締結。この協定に基づいた初の研修として実施。希望した学生から選考を経た東京校の男女学生6人が参加、教員ら5人と共に鶴岡を訪れた。
夜行バスで3日早朝に到着し、初日は羽黒山で山伏修行や斎館で塩蔵山菜など保存食について勉強。翌4日は温海地域でキノコや温海かぶの収穫体験、養豚や塩工房の見学、漁港なども訪れ、夜は地元の食材を使って和、洋食のメニューを考案し調理。山菜のフリット(揚げ物)や塩蔵もだしのクリームパスタ、温海かぶをすりおろしたみぞれあんの載った煮物などが並んだ。
最終日の5日はJR鶴岡駅前のフーデェヴァーで、研修での学びをプレゼンテーション。保存食について「東京では食材は冷蔵庫に入れるだけ。命を頂くことを考えていなかった」、生産の現場を見て「東京で食材は見た目重視。レストランのサービスでどう説明するかで食材を発信できるのでは」などと発表。聴講した在来作物に詳しい山形大農学部の江頭宏昌教授が「料理人は食材の通訳である」、奥田政行アル・ケッチァーノオーナーシェフは「料理ができれば世界中で交流できる」と若い料理人たちにエールを送った。
同校企画部では、新年度から年間を通して鶴岡でのフィールドスタディを展開していく予定という。