2018年(平成30年) 2月25日(日)付紙面より
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酒田地区広域行政組合消防本部は2018年度、県内で初めて、最新鋭の「12誘導心電図」装置を管内の全救急車10台に導入する。循環器の専門医が使うものと同程度の精度の心電図を救急車に搭載し、そのデータを病院に直接伝送することで、病院側の受け入れが迅速になり、救命率の向上につながるものと期待されている。
12誘導心電図は、心臓周辺の10カ所に電極を貼り、電極間のさまざまな組み合わせで12種の波形を調べ、心臓の動きを把握するもの。本体はスマートフォン程度の大きさで、モバイル通信でデータを直接、病院に送ることができる。
現在、同消防本部の救急車が使っているのは、全国で一般的な「3誘導心電図」で、電極3個で3種の波形しか捉えられない。しかも病院へのデータの伝送もできない。
現行の機器では、救急隊が患者を救急車に収容後、心電図を調べても、「心筋梗塞の疑い」程度の判断しかできず、病院到着後にあらためて高精度の心電図で調べる必要がある。これに対し新機器では、救急車収容時から高精度のデータを病院に送って医師が直接、判断できるため、時間ロスが減り、救命率の向上につながるという。
また、病院側で「心筋梗塞の疑い」という情報を受けてさまざまな検査や診療の準備をしても、実際には心筋梗塞でない場合も多く、「新機器の導入で空振りが減り、病院側としてもメリットがある」(組合事務局)という。受け入れ側の日本海総合病院、庄内余目病院では簡単なソフトを導入する程度で済むという。
経費は、心電図の装置本体が1台150万円、伝送端末(タブレットパソコン)6万円で、管内の救急車全10台分で1560万円を見込む。そのほかランニングコストが年間約200万円かかる。早ければ今年の夏ごろにも運用開始予定という。
2018年(平成30年) 2月25日(日)付紙面より
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県立鶴岡南高校(京谷伸一校長)の数学ゼミの2年生2人が23日、鶴岡市立京田小(布川敦校長)を訪問し、中学レベルの数学の出前授業を行った。教わる側の5年生が「公式作り上げ型」の作図問題に頭をひねる中、先生役の高校生もなんとか伝えようと奮励。両者による白熱教室が繰り広げられた。
先生役を務めるのは宇佐美かのんさん(17)と五十嵐あかりさん(17)。2人は、文科省からスーパーサイエンスハイスクールに指定されている鶴岡南高の数学ゼミに所属し、「教え方による知識定着率の違い」を研究。「先生に公式や作図方法を提示されるよりも、自分たちで考えた方が定着がよい」との仮説を検証するため自ら出前授業を実施した。
この日の授業では初めに高校生から「今日は三角形にぴったりはまる円(外接円)を描いてみます」と目標設定。12人の児童がコンパスと定規、分度器などを手に三角形外接円の作図問題に取り組み、イメージしやすい正三角形でヒントを学んだ後、3人の班に分かれて話し合いながら鋭角三角形での作図に挑戦。三角形の全ての頂点と接する円が見事作図できると、達成感に満ちた笑顔になった。
金内達彦君(11)は「算数は好きだけど、図形は苦手。ひらめいた時はうれしかった。先生の教え方もすごく分かりやすかった」。
宇佐美さんと五十嵐さんはいずれも教員志望。出前授業は朝暘三小でも実施しており、その際の検証結果によると「一概に公式作り上げ型授業の方が定着するとは言えない」との結論だった。「問題の種類によって教え方も工夫しなければいけないと思う。教えることの難しさを改めて感じた」などと話していた。