2018年(平成30年) 5月19日(土)付紙面より
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林野庁庄内森林管理署(木村和久署長)が管理する鶴岡市の高館山自然休養林内にある10コースの遊歩道をめぐり同管理署は17日、コースの一部廃道や地元への移管も含めた維持管理の見直しを鶴岡市などに要請した。市や地元の自然保護団体は、隣接するラムサール条約登録湿地の大山上池、下池を含め県内外の自然愛好者が訪れる地域でもあり、遊歩道の存続を強く要望。同管理署と関係団体が、今後の遊歩道の存廃や維持管理の在り方について協議していくことを確認した。
市や大山自治会、自然保護団体などでつくる高館山自然休養林保護管理協議会(会長・皆川治市長)の総会が同日、大山コミュニティセンターで開かれ、木村庄内森林管理署長がこれまでの経緯とともに、見直しについて説明した。
同管理署によると、遊歩道の維持管理の在り方については、10年ほど前から市側と調整しているという。国有林野事業の予算縮小などにより、職員数の削減もあって従来通りの維持管理が困難となってきていることが背景にある。
同管理署は昨年5月の同協議会総会で、同管理署が維持管理する遊歩道を利用者の多い城山、内山の2コースに限定する考えを示し、10月には瀬ケ沢、金沢、宮沢の各コースは来訪者の利用を取りやめて遊歩道としては廃道とするなどの具体案を提示した。
こうした案に対し、地元や利用者などからは反対意見が多く、見直しの協議は進まなかった。下池そばにある市自然学習交流館ほとりあには県内外から年間約2万6000人が訪れ、日本の「森林浴の森100選」にも選ばれている自然休養林の遊歩道散策を楽しむ人も多く、今年でラムサール条約登録10周年を迎える上池、下池は野鳥観察で人気がある。
協議会の総会で、木村管理署長は地元自治体やNPO、企業、自然愛好家らの協力による遊歩道維持管理の事例を紹介した上で、▽利用重視の区域▽整備を行わずに利用者が自己責任で活動する自然性重視の区域▽両者の中間的な区域―などに区分する維持管理の手法を説明。「関係者の意向把握、協力が得られる見込みのある団体への要請など、一定の維持管理の手法を検討したい」と述べた。
出席者からは「ルートとルートを結ぶ遊歩道が廃道されると、高館山の魅力に触れる自然観察が困難になる。互いに知恵を出し合って維持管理の見直しを進めていきたい」「遊歩道を実際に歩く機会を設け、現状を把握して考えるべき」などの意見のほか、環境整備事業も担う同協議会への市の負担金10万円に関し「少な過ぎる。今後のこともあり、増額してほしい」といった要望も出された。