2018年(平成30年) 5月25日(金)付紙面より
ツイート
鶴岡市の湯野浜温泉が23日、環境省の「国民保養温泉地」に指定された。県内では蔵王(山形市)や銀山(尾花沢市)などに続いて6カ所目、鶴岡市では湯田川に次いで2カ所目。25日に大分県別府市で開かれる全国温泉地サミットで指定状が交付される。
湯野浜温泉は開湯1000年の歴史を誇り、江戸時代から出羽三山信仰の精進落としの場としてもにぎわい、「奥州三楽郷」の一つとされた。
国民保養温泉地は、温泉法に基づき温泉の公共的な利用を増進するため、温泉利用の効果が十分期待され、健全な保養地として活用される温泉地を環境大臣が指定するもので、制度は1954(昭和29)年に始まった。昨年5月までに全国97カ所を指定している。選定には▽温泉に効能があり、湯量が豊富▽自然の豊かさ、文化がある▽医師ら入浴方法の指導ができる人材がいる―などの条件がある。
指定に向け湯野浜温泉などが策定した計画では、中高年の健康増進と余暇活動の充実に役立つ温泉地づくり、自然や歴史、文化、食文化を生かした多様なプログラムを楽しみ心身ともに元気になる場としての機能を持たせた持続的発展が可能な温泉地づくりを進める。
具体的には温泉療法医など関係医療スタッフを確保し、温泉の保健的利用のシステム構築を進める一方、高齢者の雇用や温泉を活用した健康評価プログラム、食文化プログラムなどを総合的に進める方針。
環境省は全国の温泉地の活性化に向け、周辺の自然環境や歴史文化、食など温泉地全体を楽しみながら心身ともにリフレッシュする「新・湯治推進プラン」の取り組みを進めている。国民保養温泉地を中核にプランを推進する考えで、湯野浜温泉も「新・湯治推進プラン」への参加を計画している。
湯野浜温泉観光協会の筒井重浩会長は「国民保養温泉地の指定をきっかけに、湯野浜温泉があらためて注目され、観光誘客や新たな温泉客の客層の広がりにつながることを期待している」と話した。