2018年(平成30年) 7月3日(火)付紙面より
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英国船籍の大型クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」(11万6000総トン、乗客定員2700人、全長290メートル)が1日、酒田市の酒田港に初寄港した。欧米を中心にした外国人らの乗客が大勢降り立って市街地に繰り出し、市民らが着物や甲冑(かっちゅう)の着付けなどさまざまな趣向の企画でもてなした。
酒田港に外国籍の大型クルーズ船が寄港するのは、昨年8月のイタリア船籍「コスタ・ネオロマンチカ」(5万7150総トン、乗客定員1800人)に続き2回目。6月25日―7月3日の横浜発着の「初夏の宮崎・日本海クルーズと韓国の9日間」の一環で、油津(宮崎県)、韓国・釜山、境港(鳥取県)、金沢(石川県)を経て7日目に酒田に寄港した。国土交通省酒田港湾事務所によると、これまで酒田港に寄港した最大の船は石炭船「HIBARI」(5万8103総トン、全長240メートル)で、今回はそれを総トン数、全長の双方で上回った。
運航するカーニバル・ジャパンの堀川悟社長によると、乗船者は、乗客約2750人とクルー約1100人の計約3850人。乗客は、外国人約2100人、日本人約650人。外国人は、米国、欧州、オーストラリアが中心という。
この日は午前7時ごろ、酒田港の古湊埠頭(ふとう)に着岸。早朝にもかかわらず、市民約3000人が出迎えた。酒田吹奏楽団の演奏や酒田舞娘(まいこ)、同市の浄徳幼稚園児による踊り「もしぇのんあののん音頭」の披露などで歓迎した。
乗客の約半数は埠頭から船会社が手配した観光バスに乗り、「羽黒山と善寳寺」「最上川舟下り」「加茂水族館」「庄内映画村」「サクランボ狩り(寒河江市)」「鳥海山」など8コースのオプショナルツアーに出発。残る乗客の多くは船会社が運行した埠頭―酒田市中町間の有料シャトルバスに乗って、市街地に繰り出した。
このうち中町モールには市や関連団体が「クルーズカフェ&マーケット」を開設。着物や甲冑の着付け、模造刀による居合抜きの体験、地酒の試飲などを、住民たちと交流しながら楽しんだ。この日は日和山から山居倉庫にかけ、大勢の外国人が散策し、まちの雰囲気は国際観光都市に。東北公益文科大や市内の高校生ら約70人が要所で英語ガイドのボランティアを務め、酒田の観光スポットなどを丁寧に案内した。
午前9時半から船内で行われた歓迎セレモニーでは、吉村美栄子知事が温泉や果物、地酒など本県の魅力をアピールし、「山形のおいしい食と飲み物を楽しんで」と歓迎のあいさつ。ステファノ・ラベラ船長は「日本ではさまざまな地で大歓迎を受けてうれしい。これからも日本発着を続ける」と述べた。
船は午後4時、大勢の市民に見送られて出航した。船のデッキは手を振る乗客で満杯になり、「酒田の満足度が高かったことをうかがわせた」(市交流観光課)。同船は今月17日(火)にも寄港予定で、地元では今回と同様の体制で歓迎する予定。
2018年(平成30年) 7月3日(火)付紙面より
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出羽三山の主峰・月山(標高1984メートル)が1日、山開きを迎えた。例年よりも多めの雪渓は残るものの、高山植物の花盛りで夏めく月山頂上ではこの日朝、御来光が雲海を朱色に染め上げた。
御来光は午前4時すぎ。時折かすみがかったが、柔らかな諧調の中に鮮烈な朱色が現れると、見守っていた山小屋の宿泊客らは歓声。記念撮影を楽しんだり、手を合わせて静かに目を閉じるなどさまざまだった。
山頂へは今回で6回目という佐々木幸子さん(51)=岩手県奥州市=は、娘の遥さん(16)の来年の大学受験祈願で一緒に参拝。「今年は雪渓で苦労したが、御来光も見られて良かった」と話した。
この日午前は、山頂の月山神社本宮で開かれる開山祭に合わせて、多くの参拝者らが山頂を目指した。月山8合目から登る羽黒山口コースでは、例年と比べて大規模な雪渓に足を取られそうになる場面も。強い日差しもあったが、稜線(りょうせん)では庄内の海岸線を見下ろす眺望と爽やかな風が参拝者を癒やした。