2018年(平成30年) 9月11日(火)付紙面より
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鶴岡市に息づく能楽の祭典「せせらぎの能」が8日夜、同市の温海温泉林業センターで開かれた。五十川地区に伝わる山戸能(県指定無形民俗文化財)と黒川地区に伝わる黒川能(国指定重要無形民俗文化財)が競演し、能楽ファンを魅了した。
自治会や観光協会、商工会などでつくるあつみ温泉魅力づくり推進委員会(斎藤徹会長)が主催し、2010年から温海川沿いの特設舞台で開催。昨年からはあつみ温泉朝市広場の野外公演として行っている。この日は雨天となり、同センターに会場を移し行われた。
初めに山戸能を上演。笛や鼓の音色が室内に響く中、地元温海地域の山戸集落の演者たちが舞台を清める「座揃囃子(ざぞろいばやし)」、稚児舞の「恋慕の舞」、能「猩々(しょうじょう)」を熱演し、詰め掛けた160人超の来場者から大きな拍手が送られた。黒川能は、牛若丸と弁慶が五条の橋で主従の契りを結ぶ上座の「橋弁慶」を上演し、幽玄の世界に引き込んでいた。会場ではビールや焼きそばなどの飲食販売も行われ、来場者たちはござや椅子席でゆったりと能楽鑑賞を楽しんでいた。