2018年(平成30年) 9月14日(金)付紙面より
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三川町で明治時代に民間育種家が育成した水稲品種「イ号」の刈り取りが12日、同町東沼のほ場で行われた。戦前に作付けを終えたイ号の本格的な栽培は約80年ぶり。町は今後、地域の活力向上につなげるイ号を使ったオリジナルの日本酒造りに取り組む。
イ号は、庄内の三大民間育種家として知られる同町猪子の佐藤弥太右衛門が作った品種。稲の病害の一つ、イモチ病への耐性が強く、最盛期の昭和初めには県内と宮城県で約1万9000ヘクタールに作付けされた。
町は昨年から地元で育種されたイ号の復活プロジェクトをスタート。県水田農業試験場(鶴岡市藤島)が保管していた種を譲り受け、同町東沼の農家、大瀧浩幹さん(35)が栽培を担当し、昨秋約5キロを収穫。全量を種もみに今春、水田約15アールへ植え付けた。
秋晴れの青空の下、この日は大瀧さんら3人が来年の種もみ用に豊かに実った稲穂約400株を手刈りで収穫。残りは後日コンバインで刈り取り、酒米にする。大瀧さんは「丈が長くて倒れやすいが、何とか乗り越えて収穫に至った。どんな味の酒が出来上がるのか楽しみ」と話していた。
町は今後、収穫したイ号を原料に庄内地域の酒蔵に依頼し、昔ながらの生■(きもと)造りで醸造し、純米酒として2019年春から販売する予定。
■は酒偏に元