2018年(平成30年) 10月18日(木)付紙面より
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鶴岡市温海地域の特産品「温海かぶ」生産者らで組織する一霞かぶ祭りの実行委員会は15日、今年11月4日開催予定だった祭りの中止を発表した。8月の大雨などにより生育不良となり、販売分が確保できないため。温海地域の広い範囲で過去にない不作の状況で、一霞の生産者は「大きくならず、ほとんど出荷できない」と頭を抱えている。
一霞は約400年前から山の斜面などを活用した焼き畑農法で栽培しており、温海かぶの本場。例年9月末ごろからの収穫で直径8センチ以上の大きさのものから順次収穫するが、今年はほとんどが3センチほどの大きさ。
播(は)種直後の大雨や台風が相次ぎ、定着の悪条件となったとみられる。温海かぶのみならず、秋野菜の全国的な高騰傾向を引き起こしている。生産者の五十嵐勇一さん(61)は「10アールのほ場でかき集めてようやく5キロ。本来の10分の1しか採れていない。収穫は降雪時期まで続くが、今後の成長も見込めない」と肩を落とした。漬け込み作業が行われる集落内の一霞あつみかぶら加工所も、カブが確保できず閑散としている。
祭りの中止は3度目で、近年では5年ほど前に軟腐病による不作で中止となっている。一霞あつみかぶ生産組合の佐々木茂組合長は「これほどの不作は初めて。祭りでは生のカブを求めて行列ができるが、確保できず残念」と話した。